筆記時のガタつきだけじゃない!デザイン、重心もブレない、ゼブラの新作ペン「ブレン4+S」の開発秘話
ゼブラの「ブレン」が発売されたのは2018年12月。 当時、まだあまり一般的に意識されることのなかった、ノック式ボールペンのペン先を筆記時にブレにくくする機構や、デザインオフィスnendoによる、独特な軸のデザインなど、注目度の高い要素を持ちながら、一般的な用途で使われる低粘度油性ボールペンのメイン価格帯で発売されたこともあって、発売当初から大ヒットとなりました。 【画像】ブレン4+Sのカラー展開 今では、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」や、パイロットの「アクロボール」などと並ぶ、普段使いのボールペンの代表的なブランドになっています。 「どうしても、『筆記時のブレを抑えるペン』というイメージが先行しているブレンですが、元々、そういうアイデアがあったとか、そういうお客様の声があったというわけではなくて、本当に新しいボールペンを作ろうというのが、プロジェクトの最初だったんです」 と、ゼブラのプロダクト&マーケティング本部の瀬川美帆さん。 新しいボールペンを考えるにあたって、自社他社問わずたくさんのボールペンを書き比べていた中で、市販のボールペンの筆記時のガタつきが気になってきたのだそうです。 そこで、手作りで先端を固定したモデルを作って、さらにノック部分あたりもテープで押さえて、といったことを試すと、確かに書き味が変わることを確認。そこから、ガタつきを抑える機構が出来上がっていきました。
◆ストレスフリーの書き心地は、筆記時のガタつきを抑えるだけでは実現できない
「元々、新しいボールペンの価値を提供する製品として開発していて、その中で、ブレないことを含め、“ストレスフリーな書き心地”というコンセプトが生まれました。なので、握りやすさや重心位置、デザインも含めて『ブレン』なんです。 “ストレスフリーな書き心地”というコンセプトから新しいペンを作るにあたって、見た目やブランドの印象も全く新しいものとして定着させたいという意図もあり、nendoさんとのコラボや、軸の色なども、一般的な事務用とは違うことが見た目からも分かるものにしたいという考えがありました。 ブランドとして、ラインアップ全体の統一感も出せるようにと考えています」と瀬川さん。 現在のボールペンの軸色は、その多くがペールトーンや白軸などが主流ですが、ブレンはかなり早くから、そういった色やクリップの位置などを採用していました。 ノック音の軽減、低重心なども含め、最初から、まるで現在のスタンダードを先取りしたようなペンだったのです。 面白いのは、それらが、未来を先取りしようとしたからではなく、「ストレスフリーな書き心地」というコンセプトの実現から生まれたということです。