混戦の米大統領選、結果判明まで身動き取れず-企業CEOも消費者も
(ブルームバーグ): 米国の企業経営者の間でも大統領選の話題は尽きない。過去数週間の決算発表では、選挙に伴う不確実性に関する話題が多く、政策変更の可能性を見越して支出を先送りしているとの話もよく聞かれた。
今年のS&P500種株価指数構成企業の四半期決算説明会を調べてみると、「不確実性」と「選挙」という言葉がセットで出てくることが、2020年と比べて著しく多くなっている。
経営者の悩みの多くは追加関税のリスクだ。特に、共和党候補トランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲いた場合だ。輸入品に対する関税が引き上げられればサプライチェーン内でコストが上昇し、一部の企業は製造や調達の見直しを余儀なくされる可能性があると述べている。民主党候補ハリス副大統領が法人税率引き上げを支持していることも懸念材料だ。
大統領選と議会選の結果が出るまで様子見を決め込んでいるのは、企業だけではない。
消費者調査会社サーカナが最近実施した調査によると、米消費者の16%は、ホリデーシーズンの買い物は選挙結果が出るまで待つと回答。どちらが勝つかによって出費額が増減すると考えている消費者も17%いた。
選挙前後は旅行に出掛ける消費者が減り、航空会社やホテルチェーンにも影響が出ている。ホテル経営会社パーク・ホテルズ・アンド・リゾーツは、選挙の週に約13%の予約減、次の週には11%の予約減を予想している。
メディア空間を選挙広告が埋め尽くすことで、企業は自社のメッセージを伝えることも難しくなっている。
ギフト商品を手掛ける1-800フラワーズ・ドットコムのジム・マッカン最高経営責任者(CEO)は、広告費が高くなっていると指摘。「デジタルでも従来型メディアでも、選挙は私たちが支払う金額に大きな影響を与える」と語った。
米政治の不透明感は決算を分析するアナリストの頭も悩ませている。
エバコアISIのアナリスト、クリス・マクナリー氏はゼネラル・モーターズ(GM)の決算発表会で電気自動車(EV)の見通しについて質問。その際に「選挙の質問を直接することなく、選挙の質問をするのが私のやり方だ」と続けた。