ただクリックするだけの超単純ゲーム「Banana」が人気急上昇の裏事情 ピーク時には91万人がプレー、人が集まった仕掛けとは?
2023年は『スイカゲーム』が流行したが、2024年6月は『Banana』というバナナのゲームが流行している。といっても、スイカゲームとは違い、ゲームと呼んでいいのか悩ましい作品で、プレーヤーがすることは画面に表示されたバナナをクリックし、数値を増やすだけである。 【画像でみる】Steamで販売されているバナナ それ以外にゲームらしい部分はない。ついでにいえばクリックしてもバナナは動かないし、これといって音も出ない。 そんなゲームにもかかわらず、ピーク時(2024年6月20日)には91万人のユーザーが本作をプレーしていたというのだから驚きだ。この謎のバナナゲームには、とある仕掛けが存在する。
■ポイントはSteamのコミュニティマーケット 『Banana』の謎に迫るには、まず『Banana』が配信されている「Steam」について説明しよう。 Steamは、アメリカのValve Corporationが運営するPCゲームの販売プラットフォームである。いわばPCゲーム・ソフトウェアをダウンロード販売する場所で、ネット上の専門ショップだと思ってもらえばよい。 PCゲームを販売するプラットフォームとしては世界最大手であり、パソコンでゲームを遊ぶのであればこれを利用していないユーザーはまずいないといってもいいだろう。
Steamはゲームの販売のみならず、ユーザーの交流を促すプラットフォームとしての役割もある。そのなかで今回のポイントとなるのが「コミュニティマーケット」だ。 コミュニティマーケットでは、ゲームをプレーすることで入手できるアイテムをユーザー間で売買できる。ゲーム内で使える武器のスキン(外見)や、デジタルトレーディングカードなどをSteam内のクレジットで売買できるわけだ(このクレジットはゲームの購入にも利用できる)。
『Banana』はゲームを3時間・18時間起動し続けると、このマーケットで売買できるバナナが手に入る。しかもバナナはたくさんの種類があり、希少なバナナであれば高く売れる可能性もあるわけだ。なお、バナナはイベントでも配布されることがある。 ■最も高級なバナナは約28万円で出品 最も高級なバナナは約28万円、その次のバナナは約11万円で出品されているケースもあり、後者は2024年6月20日に約27万円で売れている(すべて記事執筆時点)。つまり、デジタルバナナが投機商品として見られているわけだ。