「真似する」川崎フロンターレ、高井幸大はスペインに大きな刺激を受けた。「『上手だな』と思いながら…」【コラム】
⚫️「試合中も『上手だな』と思いながら…」
「ビルドアップのミスの後とか、けっこう相手にピンチを作られたなかで、キーパーの(チョン・)ソンリョンさんがけっこう止めてくれました。もっともっとピンチを減らさないといけないと思っています」 パリ五輪で戦った4試合のうち、U-23イスラエル代表とのグループステージ最終戦を除いて、高井は3試合で先発フル出場を果たしている。U-23日本代表は準々決勝で、最終的には金メダルを獲得したU-23スペイン代表に0-3で屈した。それでも、高井がパリ五輪に刻んだ爪痕は鮮烈だった。 たとえば、スペイン戦をリアルタイムで観戦していたとみられる元日本代表のMF本田圭佑は、試合中に頻繁に更新していた自身のX(旧ツイッター)へ、こんなコメントをポストしていた。 <15番何て選手? 今のヤバない? うますぎ。> 本田が称賛した「15番」を背負っていた選手こそが高井だった。もっとも、当の本人は「いや、相手のフォワードの選手が微妙だったので、あれくらいはやれるかな」とスペイン戦を振り返りながら、強く印象に残った相手選手としてエリック・ガルシア、パウ・クバルシの両センターバックをあげた。 「相手のセンターバックの選手がすごく上手だった。試合中も『上手だな』と思いながら見ていましたし、対戦したなかで盗めるところは盗めれば、それに越したことはないと思っています」 特に17歳と自身よりも年下であるクバルシのプレーには、大きな刺激を受けたという。
⚫️「そういうところで力を発揮するタイプなので…」
「僕より何歳も下の選手が活躍している姿を見ると、やはり自分はまだまだだなと感じたし、もっともっと成長しなきゃいけないと感じました。そう思いながらの1試合目だったので、及第点をあげられるかな、と」 パリ五輪後の初陣となったFC東京戦をこう振り返った高井は、ホームのUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuにヴィッセル神戸を迎えた7日のJ1リーグ第25節でベンチ入りメンバーから外れている。 フランスから帰国したのが3日夜。中3日のスケジュールで迎えた第25節には、FC東京の野澤とFW荒木遼太郎、サガン鳥栖のDF木村誠二、セレッソ大阪のDF西尾隆矢、ジュビロ磐田のDF鈴木海音、FC町田ゼルビアのFW藤尾翔太、横浜F・マリノスの植中朝日がピッチに立っている。 川崎の鬼木達監督は、高井が帰国後にコンディションを少し崩し、チームに合流したのが神戸戦の後だったと明かした上で「復帰戦が今日になって、よかったと思っている」とこう続けた。 「というのも、やはり彼はビッグゲームへの集中力が高いというか、そういうところで力を発揮するタイプなので。今日も試合の入りから積極的にプレーしていたし、2-0とどちらに試合が転んでもおかしくない場面で、セットプレーからゴールを取れたのは非常に大きい。ここからどんどん成長してほしいですね」 小学生年代から川崎ひと筋で心技体を磨いてきた高井を、アカデミーを含めて、川崎に関わるすべての人間を強く意識させる、伝統の多摩川クラシコという舞台が燃えさせた。強心臓とも、あるいはまだまだムラがあるとも受け取れる言葉を残した指揮官は、さらに「ここからが大事ですね」とも続けている。