94歳の産婦人科医・堀口雅子「当時の産婦人科医は男性ばかり。同じ女性だからこそできることもあるはずとこの道へ。気に病まないのが一番の薬」
◆気に病まないのが一番の薬 同じ医局に勤める、3歳下の貞夫と結婚したのは38歳の頃。当時としてはかなり遅い結婚です。夫に結婚した理由を聞くと、「家庭の中に閉じこもっているよりも、社会とつながりのある仕事をしている人のほうがいい」と思ったとか。年は私が上ですが、産婦人科医としては夫が先輩です。 39歳で長男を、42歳で次男を出産。これまた、当時としては《超》のつく高齢出産です。とはいえ、私も夫も医師としてさまざまなお産を経験していましたので、慌てることはありませんでした。子どもたちは貞夫が取り上げたんですよ。 子どもを持ったことで、女性たちが子育てに関して抱える葛藤を理解できるようになりました。子は可愛い存在である一方、産んでしまうと以前と同じようには過ごせなくなる。仕事と子育ての両立に悩む人たちの相談にもずいぶん乗りました。女性医師や看護師たち仲間と、保育園を作るなんて挑戦もして。 更年期も、ホルモン補充療法の助けを借りつつ乗り越えました。患者さんを見ていると、更年期が来るぞと身構えれば身構えるほど、症状が重く出ているようです。気に病まないのが一番の薬とも言えますね。 70歳、80歳、90歳……と節目を超えるにつれて、確かに体の衰えは出てきます。でも老いを残念なこととは思っていません。むしろ小さくてもいいので、成し遂げたことに目を向け、「私はまだできる」と思いながら過ごすようにしています。 幸い体調も良く、こうしてお話もできる。これからも困っている人がいたら、医師として、人生の先輩として、その人が悩みから抜け出すお手伝いできたらと願っています。 次からは、患者さんから相談を受けた際に、お伝えするアドバイスをまとめました。迷った際の道しるべにしてください。 (構成=樋田敦子、撮影=藤澤靖子)
堀口雅子
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