ボッテガ・ヴェネタ、ジル サンダー… 大人が選ぶべき「正統派黒スラックス」5選
ウエストに見慣れたドローコードもゴムもない。ゆるっとしたシルエットは鳴りを潜め、パンツ本来の姿に「原点回帰」した。デニムやチノではけっして得られない上品なウールのドレープはこの春、大人が目指すシンプルシックなスタイルに必要不可欠。正統派であることを恐れるな。 【写真】おしゃれな大人のスラックスをもっと見る
BOTTEGA VENETA|ベルトループすら排してジャストサイズを迫る
こんなすっきりとした腰は初めて見た。フックとファスナーのみということは、必然的にウエストにジャストフィットなものを選ばなければならない。ただしお尻から裾まで一直線のワイドストレートなので妙にコンサバには振れない。ボッテガ・ヴェネタ自慢の張りのあるウールで、緊張感のある下半身に。
THE ROW|ストレートに見える微フレアがちょうどいい
黒スラックスは昨今のシンプルシックの旗振り役であるザ・ロウの十八番。新作は立体的なシルエットを演出する厚手のウールサージを使用し、膝から裾にかけてわずかに広がるセミフレアシルエット。この作り込まれた「普通」の一本が実は今いちばん見つからない。当然お腹ではいて、凜々しい輪郭を強調してほしい。
DRIES VAN NOTEN|ドレープを堪能するなら薄手のフレアシルエット
腰だけでなく腿まわりも適度にフィットする、’70年代の空気を纏った一本。股上浅めで、膝から裾にかけて優雅にフレアするルックスは脚を長く見せる視覚効果はもちろん、現代では単純に新鮮。ただのレトロ回帰に見えないのは、昔のように歩くたびに裾がヒラヒラ主張せず、とろける薄手のウール生地で脚に吸いつくような美しいドレープができるから。
SAINT LAURENT|ハイウエスト&ツータックですっきり見える奇跡の黒
スキニーとワイド、極端に振ることでモードな黒スラックスを提案し続けてきたが、今季はサンローランなりの正統派に回帰。腰がゆるくなりがちなハイウエストかつツーアウトタックながら、腰まわりのラインをすっきりさせ、一直線のストレートに。生地とパターンがいいだけでこんなにもエレガント。
JIL SANDER|腰ピタッ、ズドンと落ちるワークパンツ感覚で
目の詰まったファインウールギャバジンにより、迫力あるワイドシルエットが際立つが、印象はあくまでドレッシー。違うのはやはり腰まわりのフィット具合。サイドシームに沿ってスラッシュポケットをつけるなど、ジル サンダーらしいミニマリズムが細部にも宿っている。