名づけ親のアントニオ猪木から「愛のビンタ」も…演歌歌手・森山愛子「不合格でいいのに」でスタートした歌手人生も20年目に
その後、高校の実習で行った介護施設に行きました。そのときに会話での意思疎通が難しい利用者の方といっしょに歌を歌ったのですが、すでに水森先生の元でレッスンを受けていた時期だったので、そこで教えてもらった昔の演歌、高齢者にとってのいわゆる“懐メロ”を歌ったら、すごくみなさんに喜ばれたんです。会話は難しくても歌を通してコミュニケーションが取れることに気づいて、歌の力ってすごいなと改めて実感しました。それで、演歌歌手になったから福祉活動ができないわけではないと気づき、より歌手の道に進みたいと思いました。
演歌ファンはシニアの方が多く、私のファンもメインは60~70代の方です。遠くからライブを見に来てくださっていて、ライブに出かけることで体を動かすことができたり、元気に一緒に歌ったりすることもできるので、何かの役に立っているのなら本望です。「愛ちゃんが私の生きがい」と言ってくださる方もいて、私を応援してくれることで元気になってくれたら嬉しいなと思います。福祉とは違いますが、高齢の方といろいろな形で接することができているのは、歌のおかげだと思っています。
PROFILE 森山愛子さん もりやま・あいこ。1985年、栃木県生まれ。2004年に『おんな節』で演歌歌手としてデビュー。同年に『第37回日本有線大賞』新人賞、および『第46回日本レコード大賞』新人賞を受賞。芸名の名付け親はアントニオ猪木さん。ホームヘルパー1級(現・訪問介護員1級養成課程)、卒業後に介護福祉士の資格を持つ。 取材・文/酒井明子 写真提供/森山愛子
酒井明子