「MA-1」の代名詞「ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)」のルーツを探る
1980年代、1990年代そして2000年代と、時代の移り変わりとともにさまざまな流行が生まれた。そんななか「MA-1」は、必ずと言っていいほどファッションアイコンとしてフィーチャーされてきた。
いまやカジュアルファッションには欠かせないアイテムだ。そんなMA-1の歴史を今こそ紐解き、そのルーツを確認しておこう。
今回は株式会社エドウイン 営業本部 ALPHA事業部 ALPHA営業課長代行の近藤貴史さんにお話を伺った。
「ALPHA INDUSTRIES」社のルーツは前身会社となる「Dobbs INDUSTRIES」社
最初に「ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)」(以後:ALPHA)社の歴史に触れていこう。 「ALPHA社はもともと『Dobbs INDUSTRIES(ドブス インダストリーズ)』(以後:Dobbs)という社名でアメリカのテネシー州、ノックスビルで始まりました。1959年までDobbs社の社名を使っており、その後ALPHA社に社名変更します。 1990年代までは全てmade in USAだったので、ノックスビルの工場が生産の中心だったと思います。2000年代に入りワシントンへ本社機能を移し、現在に至ります。
創業者は『Samuel Gelber(サミュエル・ゲルバー)』氏という人物で、写真から海軍だったということがわかります」
MA-1の前身モデル「B-15」モデル
MA-1のルーツを辿るには、前身モデルとなる「B-15」の話にさかのぼる。B-15モデルのディテールと仕様がのちのMA-1へと繋がっていく。 「MA-1は1950年代に誕生するのですが、その前にB-15というモデルがありました。B-15はナイロンフライトジャケットとして戦闘機に乗る際に着用されていたものです。
MA-1はボアの襟が付いたデザインになっているのですが、当時の中綿はコットンにウールを混ぜた硬く重たいものでした。袖のリブもウール素材のものが使われています。 ポケットにはフラップがなくドットボタンで留めだけの仕様で、両脇や胸にはボックスタブ、オキシジェンタブという酸素マスクのホースをクリップで留めるパーツなどが付いていました。左袖にはU.S. Air Forceのマークがプリントされており、今のMA-1とは異なる部分が多々ありました。 戦闘機もジェット機に進化し、ヘルメットなどの装備も進化していくなか、襟のボアなどもいらなくなり、MA-1はB-15のモディファイ版として進化していきます」