トヨタ決算発表 豊田社長が事業方針説明(全文4)フルモデルチェンジに取り組んだ1年
米中の通商問題をどう見ているのか
あらためて、この過去の10年間を振り返りますと、特にこの平成30年まで入れるともっと分かりやすいんですが、この世界の自動車市場を牽引してきたのは、やはりアメリカと中国だったというふうに考えております。その中でトヨタはどうだったのか。やはり母国、日本に置き、やはり成長という意味では、この30年間、日本はほとんど成長しなかった。平成元年に国内では最高の市場を持ち、あとはずっと右肩下がりに下がってきて、その中には消費者税の2回の増税があったということだと思います。 そしてアメリカにおいては、やはり2007年までは順調に伸ばしたんですが、その後のリコール問題、そして公聴会など、いろんなことがありまして、着実に年輪的に示す方向をやってきた。また中国においては、やはりトヨタという会社はいろんな意味で、ナショナルリスクを背負う会社だと思っております。そんな中、中国に対してもほかの他社に比べますとトヨタの伸びはちょっと、もう少し改善の余地があったんじゃないのかなというふうに思っております。 ただ、私が社長就任したときに比べますと、いわば従来のビジネスモデルをベースに良くしていくことは、変化への追随スピードは多少速まったんじゃないのかなというふうに考えますが、例えば市場が大きく変わるだとか、セダンからSUVに車種構成が大きく変わるだとか、このようなどちらかというとパラダイム的な変化に対しては、この対応スピードという点においてはまだまだトヨタは大きく課題が見つかったんじゃないのかなというふうに思っております。 こんなスタイルを私の在任期間中にできるとは思いませんが、トヨタらしさを取り戻すこと、そしてトヨタらしい企業風土、文化の再構築については私の代でできる限りやる覚悟でございます。 それと、これいいですかね。米中とか。まとめて言ったつもりですが。足りない点なんかあります?
就任後、感情を揺さぶられたことは?
日本経済新聞:1点目についてのご質問のご回答だと思いますけれども、足りない点、強いて挙げるとすると、社長が10年振り返られて喜怒哀楽じゃないですけれども、感情を大きく揺さぶられたようなところがもしあれば、せっかくの機会なのでちょっとお伺いできればなと思っております。 豊田:毎日揺さぶられておりますが。よくいろんな方からも、もう10年になりますねって言われます。いつ辞めるんですか、みたいな雰囲気でやるんですが、私10年やることを目的にしてきたわけじゃなくて、いわばどちらかというと最初にすぐ米国公聴会に行きましたので、社長は1年持たなかったなと思ったスタートでした。 そして最初は赤字でしたから、今すぐにでも責任取って辞めさせるような立場でスタートいたしましたので、そういう意味では長くやるなんていう気持ちはそうそうなく、どちらかというと毎日、毎日必死に生き抜いていった結果、今日があるというのが本当に正直な気持ちであります。 ですから、そういう意味で毎日、今日も生きていた、今日もまた、あしたもトヨタの経営に携われるんだということを毎日必死に続けてきた結果、今になってきたので、今のご質問でいくと毎日はらはらどきどきしておりました。 司会:よろしいでしょうか。では、次のご質問いかがでしょうか。真ん中の列の一番前の女性の方、お願いします。