「洗濯革命」到来か ドラム式洗濯乾燥機に熱視線
共働き世帯の増加や清潔意識の高まりから、高い洗浄力と家事負担の軽減を両立するドラム式洗濯乾燥機が、洗濯機の中でも今や不動の人気を獲得しつつあります。家庭での普及率も高い洗濯機の進化について、全国的な梅雨入りを前に一人暮らしを始める新入社員に、ベテラン記者が解説します。 【関連写真・グラフ】洗濯機の国内出荷台数の推移 新入社員 そもそも洗濯機って、毎年どれぐらいの需要があるのでしょうか。 記者 洗濯機の総需要は、2020年度で年間約488万台でした。しかし、その後は毎年前年割れが続き、23年度で415万台まで減ってしまいました。24年度は微増が予想されていますが、今後も急増するようなことはそうそうないでしょう。 それというのも、洗濯機の平均使用年数は10年強で、普及率の高さからも買い替え需要がベースになります。5000万強という日本の総世帯数を考えれば、年間400万台程度が総需要としては妥当になる計算です。 洗濯機には、乾燥機能が付いた製品と付かない製品があり、乾燥機能が付いた製品は「洗濯乾燥機」と分類されます。その中でもドラム式洗濯機が人気で、縦型を含む洗濯乾燥機全体では23年度はマイナスとなりましたが、ドラム式洗濯機は1.9%増の約96万台と需要は拡大しました。 新入社員 ドラム式洗濯機の需要が増えているのはなぜでしょうか。 記者 共働き世帯が増え、家事負担軽減へのニーズが高まったことが大きいですね。新型コロナ禍で清潔意識が高まり、洗濯頻度も増えたことから、洗濯から乾燥まで一括でこなせる利便性の高さも評価されています。最近では、インテリア性の観点からも選ばれる傾向が強まっていますよ。 新入社員 洗濯物を干す手間が減れば、だいぶ楽になりますね。ドラム式洗濯機の人気が高まる中で、洗濯機メーカーはどのようなポイントを重視して製品を開発しているのでしょうか。 記者 基本性能である節水性や洗浄力の向上に加え、使い勝手の良さにも力を入れています。今では縦型を含めて多くの製品に搭載されるようになった液体洗剤と柔軟剤の自動投入機能は、17年10月に業界で初めてパナソニックがドラム式洗濯機に搭載しました。「液体洗剤が詰まるのではないか」など当時は懐疑的な見方もありましたが、今ではその利便性が好評で、採用機種は広がるばかりです。 ドラム式洗濯機は各社がフラグシップ機として位置付け、最新の技術や機能を盛り込むようになりました。今後の洗濯機の方向性を見定める上でも重要であるばかりでなく、デザイン性でも洗濯機全体を引っ張っていますね。 新入社員 洗濯機もIoT化が進んでいるんでしょうか。 記者 進んでいますよ。WiFiでネットにつながることで、スマートフォンから遠隔操作できたり、洗濯終了の通知を受け取ったりできます。洗剤がなくなりそうになるタイミングで自動発注するサービスと連携する製品もあります。うまく使えば、家事の負担をさらに減らすことも可能でしょう。 ドラム式洗濯機は、日本ではパナソニックと日立のシェアが高いですが、東芝やシャープの製品も人気で、各社がしのぎを削っています。大手家電が強みを発揮しがちな市場ではありますが、アイリスオーヤマやハイアールといったメーカーも存在感を高めており、市場のすそ野を広げるのに貢献しています。 ファミリー層ばかりでなく、単身者にとっての選択肢になるような価格と性能のバランスの取れた製品が増えれば、ドラム式洗濯機の市場はもっと広がるでしょうね。
電波新聞社 報道本部