センバツ高校野球 「のびのびとプレーを」 甲子園で大逆転勝利 大垣日大・種田真大副部長 /岐阜
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する大垣日大の阪口慶三監督(77)が過去の甲子園経験で「会心の一戦」と振り返るのが、2014年夏の1回戦、対藤代(茨城)戦で、初回に8点を奪われながらも、最後は12―10で降した大逆転劇だ。この試合で1番打者だった種田(おいだ)真大さん(25)は20年4月、母校の野球部に指導者として戻り、21年4月から副部長を務める。「8年が経過した今も、同級生が集まるとこの試合の話題になる。選手たちにはのびのびとプレーしてほしい」と期待している。【熊谷佐和子】 ◇後輩の晴れ舞台見守る 阪口監督はこの試合について「(1967年に東邦の監督に就任して)約50年の経験が初めて生きた」と語る。「点数をあれだけ取られたら、走者をためて還すのが常識」だが、積極的に盗塁をするよう「常識の正反対」の指示を出した。結果的に、焦った相手投手が盗塁を阻止しようと体が速く前に突っ込むようになり、フォームを崩した。「私の術中にはまったというわけだね」 この試合で1番打者として一回裏、初球に中前打を放ち、この回に4点を奪い返す口火を切った種田さんは高校卒業後、立教大でプレーし、教員免許を取得した。卒業後に会社員として勤務していた時、阪口監督から「母校に戻らないか」と3度の誘いを受け、母校に戻る決断をした。 普段の練習で種田さんは、選手たちに自分から声をかけ、打撃のフォームを一緒に確認した。「どの点を悩んでいるの」「何が良くなった」と声を掛けるなどして、選手が自分たちの言葉で説明できるような雰囲気を作ってきた。「選手と同じ目線に立ち、教えるというよりは、確認作業をするようにしている」と話す。 13、14年夏に出場した種田さんの甲子園での経験は「個人的にはエラーもして、良い思い出ばかりではない」と打ち明けるが、華麗な逆転劇は、今も仲間たちとの語り草だ。「甲子園はやっぱり楽しい場所。大丈夫だとは思うが、あまりハラハラさせないでほしい」と後輩の晴れ舞台を見守る。 大垣日大は22日の第3試合で、只見(福島)と初戦を迎える。