けがで断念した兄に代わって始めたアメフト「今日初めてTDが取れた」 桃山学院大の2年生WRが初レギュラーで3TD
けがでアメフトを断念した兄「だから大学では僕が」
大阪府立渋谷高校では、野球部だった。近鉄バファローズで活躍した中村紀洋さん(51)の母校でもある同校では、レギュラーでセカンドを守った。「甲子園へ行ったノリさんのことはもちろん知ってます。渋谷は公立でそこそこ強かったので目指しました。僕がいたときは、ベスト32止まりでしたが」 2歳年上の兄、李空さんが近大附属高でアメフトをしていた影響で、大学ではアメフトに挑戦しようと思った。「兄は高校のときに靭帯(じんたい)を切ってしまって、それからやらなくなったんです。だから大学では僕がアメフトをやろうと思って。兄は今日も見にきてますが、あっち(近大)側にいます(笑)」 この日兄は、かつてのチームメートの応援で花園に来た。
誰にも負けない向上心 入れ替え戦へ「勢い逃さない」
アメフトをすると決めて指定校推薦で桃山に入学した。野球ではセカンドでボールを捕るのが好きだったから、ポジションは迷わずWRを選んだ。しかし、ここまでは結構苦労した。 「去年は全く試合に出てないです。体も小さいですし、当たり負けしちゃって。まだまだアメフトには全然慣れてなくって、今日もマンツーマンでめちゃくちゃやられました」と苦笑い。 中学の先輩にあたる坂本壮梧(4年、関大北陽)が近大でWRをしているので、去年は「教えてもらってもいいですか」と連絡し、公園でリリースのやり方などを教えてもらったという。向上心は、誰にも負けない。 「今けがしてる同期のWR2人は、僕よりも試合に出て活躍してるんです。それを見てずっと悔しいと思ってきたので、これからは2人に並べるように頑張っていきたいですね」 次はリーグ最終戦の大阪大学戦。その先に、入れ替え戦も控えている。 「もう絶対勝つっていう意識でいます。勢いを逃さずに、ここからチームの雰囲気を上げていきたいです」 土と芝で人一倍汚れた82番は、そう誓った。
北川直樹