「命令に背くことはできない」タリバン政権下で“死刑宣告”、弁護士一家 アフガンからの国外脱出【報道特集】
そしてー。 ファティマさん(音声) 「準備は完了です。パキスタンに安全に到着できるよう、祈ります」 出発時刻の午前2時。ファティマさん一家は潜伏先を後にし、支援チームが手配した車に乗り込んだ。 支援者 「ここで待ってて、あなたはここに座って」 危険を回避するため、夜中のうちにカブール市内を抜け、国境を目指すという。 日本では、瀬谷さんが現地の支援チームと進捗をやり取りしていた。 瀬谷ルミ子さん 「けさ未明に、カブールから出発をして、今国境に向かっているところです」 カブールから国境の街・トルハムまでの距離は、200キロあまり。日の出までに、7か所の検問所の通過を目指す。 最大の難関は、カブールから出るための検問所。そして、トルハムでの出国審査だ。車を走らせること、30分。最初のチェックポイントにやって来た。 タリバン兵(取材に基づくイメージ) 「行き先は?」 ドライバー(取材に基づくイメージ) 「トルハムです」 国境地帯に向かうと聞くやいなや、車のトランクを開け、所持品を調べ始めたタリバン兵。後部座席に座っていたファティマさんと子どもたちは、兵士と目を合わせないよう、必死に寝たフリをしてやり過ごしたという。 しばらくして、タリバン兵が告げた。 タリバン兵(取材に基づくイメージ) 「行ってよし」 無事、最初の関門を通過したファティマさんたち。 これは、そのとき撮影された、車窓からの映像だ。隣の車線には、同じく国境地帯に向かうトラックが列を成している。 トルハム到着までに通過すべきは、あと5か所の検問所。深夜でタリバンの監視が手薄になり、一気に突破することに成功した。 明け方まで、あと少し。残された90キロの行程を急ぐ。待ち受けているのは、最後の難関・トルハムでの出国審査だ。 ■緊迫の出国審査、タリバン兵「パキスタンに逃げるつもりだろう!」 午前8時半。トルハムにたどり着いた直後の様子を、支援チームのカメラが捉えていた。国境越えを目指す人達が多くの荷物を持ち、列をつくっている。