希少がん「口腔がん」発見が遅くなるケースも 2週間以上治らない口内炎や舌のしこりなどに注意
11月15日は「口腔がん」の検診の日です。口腔がんとは、口の中にできる悪性腫瘍のこと。厚生労働省によりますと、口腔がんの罹患率は人口10万人あたりの症例数が年間6例未満。「希少がん」の1つです。そんな口腔がんについて詳しく解説します。
がんと診断された患者の全体の2割程度が「希少がん」
希少がんは口腔がん以外にも皮膚がんや骨肉腫など、約200種類の悪性腫瘍が分類されています。希少がんの罹患数すべてを合わせると、がんと診断された患者の全体の2割程度を占めるといいます。 がんの治療において、指標の1つとなる「5年相対生存率」を見てみます。5年後に生存している人の割合を、全体で5年後に生存している人(性別・生まれた年・年齢分布が同じ集団)の割合と比べてどのくらい低いかを表す指標です。 がんの発見時の状態や、がんの種類や特性、転移の有無などの要因が大きいので、一概には言えません。 2017年のヨーロッパのデータでは、罹患数が上位を占めるがん全体の5年相対生存率は63.4%であるのに対し、希少がん全体の5年相対生存率は48.5%と半数に満たず、低いことが分かります。
名古屋大学医学部附属病院希少がんセンターの横山幸浩センター長によりますと、この傾向は日本でも見られるといいます。 「いわゆる5大がんといわれる胃がんや大腸がんといったがんは、患者数が多い。つまり症例数が多く、治療ができる病院も多いのです。また、多くの研究者や医師が研究を行っているので、診断精度が上がり、有効な薬剤や手術術式の開発が進歩していることが考えられます」
口腔がんについて知ることが大切
一方で、さまざまな面で課題があると話します。 「希少がんは1つ1つの患者数が少ないので、症例数も少ないです。正確な診断ができる医師や治療ができる病院も少なく、適切な治療を求めて患者が病院をさまようケースがあります」 症例数が少ないため、治療薬の開発などといった大規模な臨床試験を行うことが困難だとも話していました。 また、患者側が知らないことも影響を与えているといいます。患者が希少がんの存在を知らないがゆえに、「この症状は、がんではないだろう」と放置してしまうことも。がんと分かったときには、すでに進行している状態というケースもあるといいます。