障害者に「活躍の場」で雇用拡大 コーヒーチェーンが新規商品用の焙煎所立ち上げ
法定雇用率が4月に引き上げられた中、企業は障害者の働く場のさらなる確保や幅広い仕事を任せてやりがいを高める取り組みに力を入れている。一般的に事務やデータ入力などでの採用が多いが、商品づくりに携わってもらおうと新事業を立ち上げた企業もある。都内企業の実雇用率は年々増加傾向で、専門家は「障害者を特別枠で考えるのではなく、必要な業務内容で雇用したいと考える企業が増えてきた」と評価する。 ■仕事に魅力 「珈琲館」などのカフェチェーンを運営する「C-United」(東京都港区)の本社1階で3日にオープンした焙煎所では、障害者雇用枠で採用された従業員の男女が和気あいあいと作業していた。 内部障害を抱える従業員の男性は、2年前まで一般企業に勤務し、一般雇用枠で販売系の接客などを担っていた。だが、障害が原因で入院が増えると社内の周囲の反応が変化。厳しい視線を向けられ、「受け入れてもらえないんだ」と感じ、体調面も含めて復職は難しいと、退職を決断した。 障害者雇用枠では事務系の募集が多かったが、C-Unitedの焙煎所では専門家から技術を学べる上に、「お客さんの顔が想像できる仕事」という面にもひかれ、応募を決めた。大切な商品づくりに携われることに、男性は「事業に貢献している実感を持ちながら仕事ができる」と笑顔を見せた。 現在、焙煎所では計8人の障害者が働く。業務は、生豆の配合から焙煎、梱包、発送などで、商品は珈琲館の一部店舗などで販売される。焙煎の専門家が必要な技能を指導するなど、知識がなくても安心して働ける環境が整えられている。 障害者は不得意なこともあるが、得意な分野では高いスキルを発揮して斬新な提案をすることもあるといい、男性は「それが多様性でもあり、個性でもある」と力を込めた。「どの企業、業種にとってもプラスになる面があり、障害者が活躍できる環境を整えていく必要がある」 ■貢献を実感