障害者に「活躍の場」で雇用拡大 コーヒーチェーンが新規商品用の焙煎所立ち上げ
同社が焙煎所を開設するにあたって重視したのは、単に就業機会を増やすのではなく、従業員のやりがいを高め、働きやすい環境を整備することだ。そのために、社内全体で障害者への理解向上にも取り組む。
同社の人事担当は、「一緒に働くことで、障害者への理解を深めていきたい」と、社員の視野を広げる効果も期待する。同社の友成勇樹社長は、「飲食業で働く喜びと楽しさを感じてもらいながら、このプロジェクトをビジネスとしても成立、持続させていきたい」と新規事業の展望を語った。
■質的にも変化
法定障害者雇用率は4月に2・3%から2・5%に引き上げられ、令和8年7月に2・7%になる。厚生労働省東京労働局によると、5年の都内の実雇用率は前年比0・07ポイント増の2・21%で過去最高を更新したが、障害者の雇用拡大と働く場の受け皿の確保は依然課題となっている。
企業の障害者雇用のコンサルティングを行う「障害者雇用ドットコム」代表の松井優子さんは、実雇用率の向上の背景を「企業で普通に採用する人材として捉える企業が増えてきた」と分析する。
今後も雇用拡大は続くと予想し、障害者が働きやすい環境の創出には「お客さん扱いしないこと」を挙げ、障害者が抱える障害に配慮しつつも、他の社員と対等に接することが重要だとする。
労使双方にとってプラスにしていくには、採用時のミスマッチを防ぐことも必要で、松井さんは「企業側はどんな人材が欲しいか、どういう業務を担ってもらうのか明確にすることが大切だ」とした。(村田幸子)
内部障害 身体障害の一種で、内臓機能の障害のこと。身体障害者福祉法では、心臓機能、腎臓機能、呼吸器機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能、肝臓機能―の7つの障害を内部障害と規定。就労などで活動が制限されることがあるが、外見からは分かりにくい場合が多く、周囲に理解してもらいにくい。厚生労働省による令和4年の調査では、内部障害者は全国で約162万人に上るという。