黒岩祐治・神奈川県知事に聞く(全文3完)長生きが幸せな国でないとおかしい
超高齢社会の神奈川 課題先進県だからこそ「我々のモデルを世界発信」できる
── 息の長い取り組みになりそうだと思います。世界が今から高齢化社会に入ることもあり、神奈川は注目されていくと思いますが、何か展開イメージはありますか。 国際化は、今までどういうことかというと、欧米にあるモデルを日本に入れるのが、国際化といったり、改革だといったりしていた。今やろうとしていることは、逆なんです。我々のモデルを世界に発信する。これが本当の国際化であって、主張する日本ですよ。それは発信する日本ですよ。チャンスなんですよね。 だから、課題先進国なんですよ。課題先進国だからこそ、これを乗り越えるモデルというものは、世界に発信するコンテンツになり得る。今そういうチャンスが訪れているわけですね。現状においても、我々が今までやってきたことでも、やっぱりそれを感じますから、期待度、注目度、何でこんなに注目されるんだろう、というぐらい、逆にびっくりするぐらい注目されます。 それはやっぱり課題先進国、課題先進県、見られているから。だから、「なるほどな。今皆さんまだ見えていないでしょう。でも我々には見えているのですよ」と。「どういうふうに見えているんですか、どうすればいいんですか」といったら、「いや、こうすればいいんですよ」という話を発信していくということですね。 「未病を改善する」という、未病という言葉はもともとは中国の漢方の考え方なんですね。ところが我々がさっきのグラデーションモデルを描いた瞬間に、この漢方の未病からもっと進化しているんです。このグラデーションを描いた瞬間に、実は、ビッグデータの処理が可能になりました。 つまり日常的ないろんな情報が全部データ化できる。つまりグラデーションのどこにいるのかが“見える化”してくるということですね。これでAIに結びついていきます。人工頭脳、人工知能が結びついてくる。そうすると、一人ひとりの日常生活というものがデータ化されていって、それをAIが分析して、生活のアドバイスとかがされる。それに従っていくと、いわゆる病気にならなくなってきて、健康のまま維持できる。 例えば、100歳時代を考えるときに、認知症は非常に大きな問題です。認知症はまさにグラデーション、わかりやすいですよ。認知症というのは、皆さんよくご存じになってきていると思いますけれども、認知症じゃない人が、突然認知症になるわけじゃないですよね。だんだん認知症って進行してくるわけですね。まさにグラデーションです。 グラデーションの早い時期に見つけて、そして対応すれば止めることができるという。だからどこで早く気づくかということです。これがビッグデータの処理によって見えてくる。そうすると、それを皆さんがコントロールすることができるとなったら。認知症が重症になる前に、みんな病気の進行を止めることができるといったときに、これはみんなにとってハッピーになってくるじゃないですか。 こういったことも、実は、ただ単なる生活の現場の中だけで、皆さんの気持ちだけでやっていきましょう、じゃなくて、最先端のテクノロジーをあわせた形で未病改善、健康の時代を長くしていくモデルを示そうとしているわけですから、世界から注目されるのは当然だろうということですね。