往年のNAオーナーが楽しめる「大人のロードスター」 電動ハードトップのRF
来月発売されるマツダ「ロードスターRF」。幌モデルのNDロードスターをベースに電動開閉式の金属ルーフを備えたモデルだ。このRFは幌モデルとどう違うのか。どういう位置付けで生まれたクルマなのか。今月末にロードスターに関する著書が出るなど開発事情に詳しいモータージャーナリストの池田直渡氏に寄稿してもらった。 【写真】絶好調のマツダ・ロードスターに弱点はないのか?
◇ すでにご存知の通り、マツダ・ロードスターに電動ハードトップを備える「ロードスターRF」が登場する。発売は12月22日だが、すでに予約受付は始まっている。 このロードスターRFに一足早く試乗する機会をいただいたので、レポートしたい。 まずは、その特異なルーフ形状から説明すべきだろう。ルーフトップのみをオープン出来る形状を一般的には「タルガトップ」と言うのだが、マツダはこれはタルガトップではないと言う。何が違うのかと問えば、主査の中山氏は、ルーフ部分だけでなく、リヤウインドーも完全に開くところが違うのだと説明する。確かにそうかも知れない。では何と呼んだらいいのかと聞くと、名前はまだないのだそうだ。
NDロードスターの「原点回帰」
RFの成り立ちを理解するには、まずはベースとなった幌モデルの「NDロードスター」について説明しなくてはならない。NDは「感」を軸にして開発された。そしてこの「感」は3つに分類されて定義されている。「手の内/意のまま感」「軽快感」「開放感」である。それは何のためかと問えば「誰もが幸せになるクルマ」にするためだと言うのだ。 つまり初めにあるのは人々を笑顔にするクルマとしてのロードスター像であり、それを実現する手段として「感」を研究したという順番だ。クルマの開発では往々にして手段が目的化することがあるが、マツダの人たちは「この手段が目的化すること」をとても嫌う。それはクルマ作りがブレるからだ。全ては「笑顔になれるクルマ」のためだ。
さて、とは言っても、現実の開発では、どうやって「感」を実現するのかという話になる。それは具体化のため必須事項だからだ。「感」の根幹となるのは軽さである。物理的に軽ければ「手の内/意のまま感」と「軽快感」は達成できる。「解放感」は表面的にはオープンのボディが達成してくれる。つまり笑顔になれることの比較的根元に近い位置に「軽さ」がある。 先代のNCでは厳しい経営環境を背景に、フォードと共用のエンジン採用を余儀なくされ、コンポーネンツもRX-8由来の部品を使わざるを得なかった。その結果、重量が増えた。それ以外にも厳しさを増す衝突安全規制の影響も大きい。重量が増えればパワーを増やさないと動力性能が保てない。それが2.0ユニットへと繋がった。