「定年後も働く」と伝えたら、家族から「体に悪いし無理するな」と言われました。仕事を続けた方が健康を維持できると思うのですが…
定年を迎える年齢になり「これからどのように生活していこうか」とお悩みの方もいるかと思います。 退職後の生活のよくあるお悩みに「仕事を続けるべきか否か」が挙げられますが、自分と家族との意見が合わず、どのようにすべきか困ってしまう方もいるはずです。 そこで今回は、仕事を続けた方が健康を維持できるのかについて解説します。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
高齢になっても働き続けたい理由の1位は「健康維持」
株式会社パーソル総合研究所が行った調査によると、71歳以降も働きたいシニア就業者、プレ・シニア就業者が高齢になっても働きたい理由は、表1の10項目だったようです。 表1
※株式会社パーソル総合研究所「働く10,000人の成長実態調査2023 シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント」を基に筆者作成 当調査によると、高齢になっても働くことで健康を維持したいと考えている方は、57.8%と半数以上いることが分かります。 また「生活を維持するために収入が必要だから」「将来の年金生活が不安だから」「趣味などに充てる資金を得たいから」など、老後資金に関するものも多くなっているようです。
「高齢になっても働くこと」=「健康維持」につながるのか?
働くことで健康を維持できるかどうかは、人それぞれの状況によって異なり、必ずしもよい結果が得られるというわけではないようです。 人的資本に関する経済理論(グロスマン・モデル)に基づくと、退職によって収入もしくは生産性の向上・維持により得られるメリットが低下することで、健康への投資が少なくなる可能性があると考えられています。一方、仕事の時間が少なくなり、健康に投資できる時間が増加するという反対の結果が得られる可能性も示唆されているのです。 また、京都大学の調査によると、退職に伴い働くことをやめた方は、働き続けた人と比較し、心臓病のリスクが2.2%ポイント低くなったと発表しています。さらに、引退した方は、身体不活動(中高強度の運動の頻度が週1回未満)のリスクも3.0%ポイント低いことが示されました。 上記以外にもさまざまな退職後の就労についての調査研究がなされていますが、必ずしも一致した見解が得られているわけではないのが現状といわれています。