COP29、資金調達の草案 目標額など選択肢多数、合意見通せず
アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で16日、途上国の地球温暖化対策を進めるための資金調達に関し、議題別会合の共同議長が合意文書の草案を示した。会期後半の議論のたたき台となるものだが、調達目標額などについては多数の選択肢が併記され、合意の行方は見通せない。 【干ばつ・洪水・猛暑…今、地球で起きていること】 COP29は、2025年以降の途上国向け支援の資金調達が最大の焦点だ。現行目標の「年1000億ドル(約15兆4000億円)」を下限とすることは決まっており、途上国側からは年1兆ドル(約154兆円)以上の無償資金を求める声が上がっていた。 16日の草案では目標額について、年1000億ドル以上▽年1兆ドル以上▽年1兆3000億ドル以上――など多数の案を併記。金額を空欄にしたままの選択肢もある。ドナー(出し手)については、先進国に拠出を求める案に加え、他の国にも広げる案、温室効果ガスの累積排出量や経済力などで決める案などが盛り込まれた。 日本政府の交渉担当者は「各国の間で対立の溝は深く、会期前半の事務レベルの交渉で進展をはかれなかった」と語る。 COP29は18日に閣僚級会合が始まり、交渉が本格化する。日本からは浅尾慶一郎環境相が参加する予定となっている。【バクー山口智】