まさに豊田章男会長が憧れた「おやじさん」だった…鈴木修さんが「インド工場の食堂」で従業員の心を掴んだ行動
■世界に誇る「日本の自動車」を広めた人だった 「ご退任を発表されたときの言葉は今も私の心に残っております。 『生きがいは仕事です。挑戦し続けることは人生ということでもありますから、皆さんも仕事をし続けてください。バイバイ』」 オサムさんは豊田さんのことを「章男さん」と呼んだらしい。そして、「自分は叔父さんだ」とも言っていたという。章男さんのお父さん、豊田章一郎さんのことを5歳上のお兄さんとして慕っていたからではないか。オサムさんは豊田家にとっては「おやじ」であり、「おじさん」だった。 オサムさんはインドの人たちにとっては自動車産業の父だ。高倉健さんにとってオサムさんは同年代の仲間だろう。そして、豊田章男さんにとっては憧れのおやじさんだ。 私たち日本人にとってのオサムさんは尊敬すべき経営者であり、インド、パキスタン、ハンガリーと日本を結び付けてくれた人だった。 ---------- 野地 秩嘉(のじ・つねよし) ノンフィクション作家 1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。著書は『トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力』(プレジデント社)、『高倉健インタヴューズ』『日本一のまかないレシピ』『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『一流たちの修業時代』『ヨーロッパ美食旅行』『京味物語』『ビートルズを呼んだ男』『トヨタ物語』(千住博解説、新潮文庫)、『名門再生 太平洋クラブ物語』(プレジデント社)、『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』(ダイヤモンド社)など著書多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。旅の雑誌『ノジュール』(JTBパブリッシング)にて「ゴッホを巡る旅」を連載中。 ----------
ノンフィクション作家 野地 秩嘉