オオイチモンジを見るなら7月の北海道がおすすめ!
ビーパルOB・宮川 勉が、40歳前後で目覚めた「昆虫採集」の楽しみをご紹介。今回は7月の北海道へオオイチモンジ採集(2回目)にでかけたときの嬉し恥ずかしエピソードをご紹介します。 【写真7枚】オオヒカゲや、ジャノメチョウ、イチモンジチョウの姿も。北海道の林道で見つけたオオイチモンジを写真で見る
チョウを採りに、ふたたび北海道へ
初めて北海道の林道に行って、オオイチモンジ採集を試みた7月上旬は、ネットに入れた1頭に逃げられました。 その後は、頭の中をオオイチモンジが飛び回る日常生活を送っていました。 しかしなんという偶然か、1回目の北海道遠征の10日後に、前回影も見えなかった林道に行くチャンスが巡ってきました。 以下記録ノートから。
ふたたび北の林道にて
空には流れるように雲が動き、刻々と翳ったり晴れたりを繰り返す。晴れていると極楽のように美しいが、翳ると風がうそ寒く、一体自分は何をしているのかわからなくなる。 翳っていても目をこらすとシロオビヒメヒカゲが草に休んでいるのがわかる。 灌木の上を悠々と飛んでいるのはエゾシロチョウ。しばし晴れ間が続くと、チョウはあちこちから現れるが、翳るとぴたりといなくなる。ヒメカラフトヒョウモンやヤマキマダラヒカゲ、コヒオドシ、キベリタテハなどが一頭また一頭とやってくる。 前回来たおよそ10日前と確実にチョウの種類が違っている。前回はカラフトヒョウモンがいたのに、今回はほとんどいなかった。コヒオドシは前回よりもやけに多い。 しかしあいかわらずオオイチモンジの影はなかった。
人生で初めて捕らえたオオイチモンジ
崩落地の手前に次々と蝶が降りてくるのを見た。よし、あそこを見てから戻ろうと、その場所に向かってみた。そこは地下水がしみ出しており、いろいろな種類のチョウが吸水に集まっているのだ。雲も途切れて日光がさんさんと降り注いでいるなか、チョウは来て、無警戒で吸水し去っていく。 私が動くときだけ、面倒くさそうにふわりと場所を移動するが、また降りて吸水に夢中だ。 その様子をしばらく見て、クルマに引き返すことにした。 そして最後にもう一度振り返ったときだ。やけに大きくて黒いチョウが地面に留まっているのが見えた。 高鳴る動悸を押さえ、小走りに近づいた。間違いない。オオイチモンジのオスだ。相手は夢中で吸水している。いったいどんなミネラルがしみ出しているのであろうか。陽に反射する後翅外縁のメタリックブルーとオレンジの斑紋が美しい。 網をかぶせた。 前回の失敗があるので、落ち着いて落ち着いて。 三角紙に収めるまで緊張は解かなかった。 ようやく三角紙に入れた。 ふと網膜の端に、またしても黒く大きい蝶の影をとらえた。二頭目だ。ミネラルを含む地下水は彼らにとってどんな味がするのだろう。危険を察知する本能を無視できるほど甘美な味わいなのだろうか。二頭目はそれほどの緊張感を感じなくとも、採取に成功した。