【パリパラ】車いす女子バスケ 自力での出場権獲得は16年ぶり! チームを率いるキャプテン・北田千尋インタビュー
至近距離のパラリンピアン15
滋賀県湖南市の体育館にバスケットボールのドリブル音が響き渡る。黙々と練習に励むのは北田千尋。車いすバスケットボール女子日本代表のキャプテンだ。この体育館を“地元の拠点”とし、練習パートナーがいなくても一人で鍛錬を重ねている。 【写真】車いすバスケ女子日本代表キャプテン北田千尋
「車いすがあれば、もう1回コートに立てるんや」
中学時代はバスケットボール部に所属していた。しかし病気の進行で走ることが困難に。「選手としてやるのは難しいかなーと思って」無念にもコートを去った。 だがバスケットボールが好きな気持ちは変わることがなく、バスケ部のない高校に進学したものの「結局バスケ部を作って、初心者に教えてました」と笑う。この経験から指導者を志し、大学へ進学した。「教員免許を取って、学校の先生になって、バスケ部の顧問ができたらなぁって」 障害者スポーツセンターでのインターンシップにも参加し、職員と話していた時、人生を変える言葉を聞いた。 「走れなくてバスケができなくなったのなら、車いすに乗ればできるよ」 車いすバスケをすることは考えてもいなかった。「それがあるっていうことも知らなかったし。自分がそれに該当する障害者だと思わなかったし」その場ですぐ競技用車いすに乗らせてもらい、練習に参加した。 「なんかもう走れることが嬉しくて。もう1回選手としてコートに立てるんやって」 再び“選手”に戻った北田は、あっという間にのめりこんだ。「自分が抱えていた悩み、バスケの選手にはなれないってあきらめてたことが、車いすという道具一つで解消されるんだとすごい衝撃的で。本当に、あっこれかもしれない、という感じでした」
10年にわたる独学の旅、自己との戦い
すぐにクラブチームに入って本格的に競技生活を始めた。国内で認められ始めてからも独学で練習方法を編み出し、自分に合ったトレーニングを重ねていった。「もともと内にこもるタイプなので、自分との戦いが好きで、練習も1人が好きなんです」 競技への向き合い方も独特だ。「設定した目標をクリアしていく、ゲーム感覚が面白いんです」 たとえば、「大会で12名の代表選手に選ばれたら、ゲーム1個クリア。そこで目標達成できたら、またゲーム1個クリア。もし目標達成できなかったら、再チャレンジ。練習方法を見直してまた1人で黙々と練習する」 自身の成長をゲームのように捉え、一つ一つの課題をクリアしていく。この独自のスタイルで無限に上を目指し、モチベーションと成長を継続している。