宇宙葬、モニュメント墓、墓友──「終活の時代」にみる最新お墓事情
生前に墓を建てる人は6~7割にのぼる
美しいバラの咲き乱れる大きな庭園に、さまざまオブジェが置かれています。そこは、心癒されるいわゆるヒーリングガーデンです。オブジェに近づいていくと、なんとそれはお墓ではありませんか。グランドピアノの形をしたものもあれば、サッカーボールの形、また本を開いた形のものもあります。そう、お墓に眠る人が愛していたものが、そのお墓にデザインされているのです。 このように、近年、墓地やお墓は大きな変貌を遂げています。その背景にあるのは、少子高齢化現象でしょう。少子高齢化に伴って日本の死亡者数は右肩上がりに増え続けていて、平成25年には127万5000人に達しました。ちなみに、出生者数は103万1000人です。 シルバー世代だけでなく、中年の人や若い人も含む多くの人が、人生の終わりのための活動である「終活」に関心を持つようになりました。その終活の中でも、自分の「終の住処」であるお墓は、大きなテーマの一つです。 メモリアルジャーナリストとして、長年、葬儀や供養のありかたを啓発し、仏壇や墓地、お墓などについて論評し、世界を回って活動を続けてきた北川雅夫氏は、次のように述べています。 ――「生きているうちにお墓を建てると縁起が悪い」。よく耳にする言葉です。しかし、これは根も葉もない迷信です。生前にお墓を建てることを「寿陵」と言い、これは道教の不老長寿を深く信仰した秦の始皇帝の墓が起源と言われています。寿陵には「長寿を祈願するお墓という観念」があり、また「一度死んで新たに生まれ変わり、寿命が延びる」とも言われていて、じつはこの寿陵が現在、全体の建墓数の6~7割を占めているのです。 このように「生前建墓」をする人が増えている理由は、 自分の「終の住処」は自分自身で決めたい、亡くなった後に子供や家族に迷惑をかけたくない、という気持ちからでしょう。こうした「マイお墓」の時代にあって、注目を浴びているのが、「散骨」(粉末化した遺骨、つまり遺灰を撒く)と「樹木葬」です。