最難関ホールで珠玉の一打 申ジエが記録ずくめの全英女子制覇に“王手”
◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 3日目(24日)◇セントアンドリュース オールドコース (スコットランド)◇6784yd(パー72) 【画像】追いかける日本勢一番手 後半17番パー4はこの日の平均スコア「4.66」を記録した最難関。極めてタフなオールドコースの名物ホールで、申ジエ(韓国)が珠玉の一打を放った。 205yd先のピン手前には“トミーズバンカー”が口を開けるロケーション。1978年大会の3日目、中嶋常幸が脱出に4打を要したバンカーにつかまれば、無傷では済まない。右側にそびえるオールドコースホテルの影響でセカンド地点では感じづらい右からの強風も、ピンフラッグの揺れ方を入念にチェックして読んだ。 「(グリーンに)乗せるだけでいい。20、30ydのパットが残っても大丈夫」。20度のUTでしっかり右に打ち出したボールは、ガードバンカーを回り込むようにしてグリーン右サイドにキャリー。傾斜に乗って転がり、ピンそばにピタリとついた。「私の身長では、ボールの位置が見えなかったんです。グリーンに着いて『うわー、近い!』って。間違いなく、きょうのベストショットのひとつ。狙った以上の結果が出ました」と胸を張った。 「1mでも簡単じゃないピンポジション」という言葉通り慎重に沈め、最終18番をパーとして「67」。会心のプレーに「きょうは私の持つスキルを全て出し切りました」と充実感もにじむ。最終組のネリー・コルダがスコアを落とし、通算7アンダー単独首位に浮上した。
2008、12年に続く大会3勝となれば、カリー・ウェブ(オーストラリア/1995、97、2002年)、シェリ・スタインハワー(1998、99、2006年)と並ぶ最多。ただ、2001年のメジャー昇格後の3勝は前人未到の快挙だ。12年ぶりの優勝も、大会最長ブランクを更新することになる。
2007、13年と過去2度のオールドコース開催も経験している36歳のベテランに訪れたビッグチャンス。会見で引退などキャリアプランについて質問が飛ぶと、「考えてないですね。まだ選手なので。きょうのプレーに集中していたし、今はホテルに帰ってあしたに備えることだけ」。かつての世界ナンバーワンらしく、落ち着き払って言った。(スコットランド・セントアンドリュース/亀山泰宏)