注目の半導体ビジネス。「CPU」と「GPU」の違いとは?大江麻理子さんが解説!
「エヌビディアの業績が日本株高の推進力に。半導体は経済安全保障の重要な戦略物資」
今年2月発表のエヌビディア社の決算は過去最高となり、その時点では、上場企業の時価総額ランキングで世界4位に。 「生成AIへの注目と同時に、オープンAIをはじめマイクロソフトやアップル、グーグルなどの巨大なIT企業たちが生成AIに戦略的な投資を始めました。その結果、GPUの需要が急速に高まり、エヌビディアの業績が急拡大。株価もぐんと上がりました。その影響でハイテクノロジー株を中心に構成されている米ナスダック市場の株価が上昇。半導体を作る装置や素材で圧倒的な強みを持っていて、半導体産業に今後さらに力を入れる方針の日本でも、株価が約34年ぶりに最高値を更新しました。日経平均株価が史上初めて4万円台をつけた推進力のひとつが、エヌビディアの好調とも言えます。アメリカの経済や株価を牽引するだけでなく、日本の株価も後押ししてくれるような存在になっているんです」 半導体は今、経済安全保障の中でも特に重要な戦略物資になっていると大江さん。「IoTが進化してあらゆるものがネットにつながる時代になりました。より便利な社会を目指していく過程で、半導体が縁の下の力持ちのような存在になっているのを感じます。その影響もあり、半導体を安定的に確保したいという狙いを各国、各企業が持っています。具体的には、米中対立が長期化し、アメリカが中国に対する半導体関連の輸出規制を日本やオランダにも求めるなか、日本は、中国に対し半導体製造装置の輸出規制を行っています。その一方、次世代半導体を国内で製造するべく立ち上げたラピダスを軌道に乗せるため官民一体となって動いています。これまでは石油がそのような安全保障的な意味合いを持った物資でしたが、今は半導体もそうで、新しい冷戦時代の戦略物資とも言われています。今後も半導体が国同士の取り引きの材料に使われたり、関連企業にスポットが当たったりして、ニュースで話題に上ることが増えていくでしょう。それだけ重要度が高いものであるという認識で見ていただけるといいと思います」 大江麻理子 おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。 撮影/花村克彦 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2024年6月号掲載