注目の半導体ビジネス。「CPU」と「GPU」の違いとは?大江麻理子さんが解説!
「生成AIの進化に欠かせない半導体GPU。機械が目と脳を持つことができる時代へ」
「生成AIが世の中に浸透してきたことによって、AIの脳にあたる部分をつかさどる半導体が注目されています。そこで、最近耳にする機会が増えたGPUと以前からあるCPUという二つの半導体について、違いを含めてまとめて理解しておきたいニーズがあるのではないかと思い、取り上げました」と大江さん。アンケートでの認知度は、CPUが約2割、GPUが約1割。 「CPUとGPUはどちらも半導体の一種で、処理をする装置です。共通する“PU”というのはプロセッシングユニット=処理装置という意味の言葉です。ただ、処理をするものや処理の速さ、使われる目的が異なります。CPUの“C”はセントラル。中央演算処理装置と呼ばれ、色々なものの処理を行うために使われます。たとえば、データベースを作って計算し、実行するなど、幅広い作業の処理に適しています。代表的な使用例がPCです。『インテル入ってる』というCMがありましたが、まさにインテル製のCPUがパソコンの中に組み込まれていることを表しています。一方、GPUの“G”はグラフィックス。画像処理装置と呼ばれ、画像や映像の処理に必要な計算をすることに適しています。膨大なデータを並列で一気に高速で計算して処理することができる特性が、ビッグデータの処理に適しているということで、生成AIの開発に欠かせない存在となっています」 現在GPUの世界シェア8割以上を誇っているのが米半導体企業のエヌビディア社。「1999年にエヌビディアが発明したGPUは、もともとニッチな存在として認知されていた時代がありました。ゲーミングPCやプレイステーション、ニンテンドースイッチなどのゲーム機の中に入っているものというイメージを持つ方もいると思います。それが2022年にオープンAIのChatGPTが登場して以降、AIの進化においてGPUが欠かせない存在として注目されるようになりました。生成AIの分野のほかにも、車の自動運転やロボティクスにも活用されています。自動運転の場合、車から見える周りの景色を瞬時に自動で分析し情報を処理するなど、人間で言うと視神経から脳までの役割を担うのがGPUだと考えるとわかりやすいかもしれません。GPUの活用が広がるにつれて、その開発や設計を手がけるアメリカの半導体メーカー『エヌビディア』の存在も世界にとって欠かせないものとなってきています」