大阪府・吹田市にある水族館「ニフレル」は「感性に触れる」がコンセプト。「お手洗い」の看板に止まるフクロウが名物
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく 【写真】名物のアナホリフクロウとお手洗いの看板 * * * * * * * ◆「感性に触れる」がコンセプト 大阪府吹田市にある「生きたミュージアム」ニフレルは、「感性に触れる」ことをコンセプトにしている。通常の水族館の生息地域別の展示ではなく、「いろにふれる」、「かくれるにふれる」などとユニークなテーマを引用した展示方法を用いている。 「いろにふれる」では人気のカクレクマノミや真っ赤なシロボシアカモエビ、美しい群れを形成するプテラポゴンやマンジュウイシモチなど、鮮やかな熱帯魚が泳いでいる。 施設全体がインタラクティブで、従来の壁に埋め込まれている水槽はほとんどない。ほぼすべての水槽が四方から観覧でき、さまざまな視点を誘う。また、アーティスト・松尾高弘による「WONDER MOMENTS」という光のインスタレーションもユニークな空間を演出している。
◆自然界ではありえないような「出会い」 最も興味深かったのは「放し飼い」の動物がいる「うごきにふれる」。自然界ではありえないような「出会い」が可能になる。 例えばアフリカのワオキツネザルの一団が北米のビーバーのエリアに「侵入」し、餌の一部を分け合っていた。1匹のワオキツネザルは、しばらく水槽のガラスの上に居座り、好奇心旺盛な2匹のビーバーが泳いできて、まるで「君は何?」と問いかけている様だった。 そして当館の名物とも言えるワンシーンは、アナホリフクロウが「お手洗い」の看板の上に止まる瞬間だ。面白いと思って撮影したところ、後でショップを通ったら、そこでもその場面をイメージしたグッズが販売されていた。 (撮影=野辺地ジョージ)
野辺地ジョージ
【関連記事】
- 山形県鶴岡市立加茂水族館、通称「クラゲドリーム館」見どころは優雅に泳ぐ1万匹のミズクラゲを堪能できる「クラゲドリームシアター」
- AI全盛時代、観る側も「写真とは何か?」を問われる写真展「WONDER Mt.FUJI 富士山 ~自然の驚異と感動を未来へ繋ぐ~」
- 開館20周年「新江ノ島水族館」初代「えのすい」はイルカショーやクラゲの常設展示発祥の地。深海探査潜水艦「しんかい2000」の展示室など見所沢山
- 東京スカイツリーにある「すみだ水族館」ペンギンの巨大な水槽を中心に置いた都市型水族館。水槽の隣にはカフェも
- 東京・銀座「アートアクアリアム美術館 GINZA」はデパート館内にあることを忘れてしまうほど多彩な展示方法で楽しませてくれる