理系大学院生のお天気キャスター 入学前は「理系色」の強さになじめるか不安だった
「理系色」の強さになじめるか心配
大学に進学する前、井澤さんが心配したのは大学の理系色の強さでした。「先輩が目をキラキラさせて研究の話をしてくれる様子に、面白そうだと思いながらも、自分がここまで理系のスペシャリストになれるかと不安もありました」。しかし、大学で地球全般を広く学んでいるうちに、気象だけでなく、自然や地球についての興味が深まり、「いまはすっかり理系の魅力にハマっている」といいます。 「多少、ラッキーだったかなとは思いますが、やりたいことがはっきりしていれば、女子が多いか少ないかは気になりません。大事なのは女子の人数ではなく、好きなことができるかなのではないでしょうか。志望校はあくまでやりたいことを第一に選んでほしいですね」と井澤さんは話します。「修士課程の学生は文系、理系、性別、国籍を含めて、多様性にあふれています。議論を進める中で視野が広がり、気象は社会とも深くつながっていることを感じ、新たな発見があって楽しいです」 東京工業大学は理工系ながら、人間と科学技術の調和を目指すために大学院でも文理融合の学びを推進しています。井澤さん自身も、研究だけでなく、文系関連の講義も受講しており、幅広く学ぶことで専門にも生かしたいと考えています。
さまざまな学部で学べる気象学
気象予報士は、テレビやラジオのニュース番組や天気予報番組で活動するだけでなく、農業や建設業、航空業界など天気の影響を受ける業種への情報提供のほか、マーケティングやアプリ開発、健康管理など、さまざまな分野ともつながりのある仕事です。 気象庁の発表によると、23年4月現在、1万1690人が気象予報士として登録されています。独学で勉強することもできますが、合格率は5%前後と難易度が高いので、大学で専門的に学ぶと有利になるでしょう。 気象学が学べる大学は、北は北海道大学から、南は琉球大学まで、全国に数多くあります。学べる学部は、理学部、教育学部、都市デザイン学部、データサイエンス学部などさまざまです。大学選びの際は、気象の中でもどのような部分を学びたいのか、またどんな教授に学びたいのかについても、調べてみることが大切です。
朝日新聞 Thinkキャンパス