【医師解説】辛いめまいは予防できる!? 解消・対処法と生活習慣の改善ポイントとは?
メニエール病・良性発作性頭位めまい症などめまいの治療法は?(薬物治療/頭位治療/リハビリ…)
編集部: メニエール病はどのようにして治療するのですか? 丹羽先生: メニエール病は内耳がむくむことで生じます。そのため、利尿薬を使ってむくみを改善するとともに、内耳循環改善薬、ビタミンB12、漢方薬などを使った薬物療法を行います。また、中耳加圧療法といって、耳の中の圧力を一時的に増加し、むくみを取る方法もあります。 編集部: なぜ、耳の中がむくむのですか? 丹羽先生: 水分の摂取量が不足して、体のなかが脱水の状態になると、「水分を再吸収して体内に水を溜めなさい」というホルモンが心臓から分泌されます。これが耳をむくませる原因になるのです。そのため普段から水をたくさんとって脱水にならないようにし、水の循環を良くしておくことがめまいの予防には必要です。 編集部: 良性発作性頭位めまい症はどのようにして治療するのですか? 丹羽先生: 耳石置換法(頭位治療)といって、頭や体を動かすことで三半規管に入った耳石を耳石器に戻す治療を行います。 編集部: もう少し詳しく教えてください。 丹羽先生: そもそも良性発作性頭位めまい症の原因は、耳石器の中の耳石がはがれおちて、各半規管内を浮遊してしまうことにあります。一度はがれたものは、元の場所に戻して固定することができないので、ひとまず頭や体を動かして、めまいを起こさせない場所へ耳石を移動させることが必要です。 編集部: 耳石がどこにあるかは、どうやってわかるのですか? 丹羽先生: フレンツェル眼鏡という特殊な眼鏡をかけて患者さんの目の動きを観察したり、小型のCCDカメラを使ったりすることでわかります。部位診断は患者さん自身が行えるものではありませんので、医師による診察が必要です。 編集部: 治療後、めまいの再発を予防するためにどうしたら良いでしょうか? 丹羽先生: たとえば、頭をあまり動かさずにいると耳石が1カ所にたまりやすくなるため、寝返り運動を行うのがおすすめです。耳石の場所によっては、頭の位置を高くして眠るのも予防に効果的な場合があります。そのほか、エプリー法やブラントダロフ法などの運動療法もありますが、自己判断で行うとかえって悪化することもあるので、必ず医師の指示を仰いでください。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 丹羽先生: めまいは死に直結することは少ないものの、患者さんご自身の不安が非常に強くなる症状です。いつめまいの発作が起きるかわからないという不安から、一人で悩んでいる方も多いと思います。しかしめまいは適切な治療を行うことで改善が期待できますから、ぜひ医師に診てもらい、「心配がいるめまいなのか」「様子を見ても大丈夫なめまいなのか」を判断してもらいましょう。場合によっては抗うつ剤を使った治療を行うなど、めまいの治療法は非常に多彩です。信頼できる医師に、治療の方向づけをしてもらいましょう。現在ではインターネットでさまざまな情報が流布していますが、診断がついていないのに自己判断でいろいろ試すのはリスクがあります。効率よく治療するためにも、めまいに困っている方はぜひ、医師に相談してみてください。