同じ年収200万円でも手取り20万円の差がつく…「年収の壁」を逆手にとって手取りを最大化する裏ワザ
■同じ年収200万円でも手取りが20万円以上変わる 前ページの仕組みを利用して、手取りを増やしていきます。ポイントは、パターン②の活用です。具体例で見ていきましょう。仮に、年収200万円の3人が3つのパターンで働いた場合の社会保険料の負担を比較します(図表5・6)。 年収は200万円と同じですが、手取りは10万~20万円以上違います。Bさんのようにダブルワークを利用して、社会保険の対象にならない給与を作ることができれば、その分の社会保険料の負担を抑えられるというわけです。
■フリーランスもダブルワークで社会保険料を減らせる フリーランスの場合「130万円の壁」を超えると配偶者の扶養をはずれて国民健康保険・国民年金に加入することになります。 フリーランスの130万円の壁(配偶者の社会保険の扶養からはずれる壁)は、基本的には年収ではなく所得です。所得とは収入から経費を引いた実際の儲けのことです(配偶者の勤務先によって扱いが異なる場合がありますので、詳しくはお勤め先の健保に確認してください)。 国民健康保険は稼ぎに応じて最高106万円と高額です。国民年金は稼ぎにかかわらず、一律年20万円程度。所得130万円となって、配偶者の扶養を超えたフリーランスの国民保険料は約20万円。国民年金と合わせると年間40万円の負担です。国民健康保険・国民年金の負担は重いのです。 でも、フリーランスもパターン②の方法を利用すれば、保険料の負担を減らすことができます。 具体的には、社会保険に加入できる程度、パートやバイトで働くのです。加入条件の最低ラインの年収106万円であれば、社会保険の負担は年間16万円。社会保険に加入すれば、国民健康保険に加入する必要はありませんから、保険料の負担を大きく抑えることが可能です。 しかも、会社の社会保険に加入すれば、ケガや病気で働けなかった場合の傷病手当金や出産手当金を受け取れたり、厚生年金保険料を払うことで、将来もらえる年金が増えるというメリットもあります。それ以外にも加入する健康保険組合のサービス(介護給付や人間ドックなどの補助、福利厚生サービスなど)を受けることもできます。 負担する保険料が減ったうえに、こんなメリットもあるのですから、検討の余地ありですよね。 ---------- 板倉 京(いたくら・みやこ) 税理士、マネージャーナリスト 保険会社・財産コンサルティング会社、税理士法人等で税理士業務に携わる。開業独立している女性税理士の組織、ウーマン・タックス代表。テレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。著書に『夫に読ませたくない相続の教科書』(文春新書)、『定年前後のお金の正解』(ダイヤモンド社)など。 ----------
税理士、マネージャーナリスト 板倉 京