オワコンESG投資が「案外しぶとく生き残るかも」…なぜトランプ政権下「再び盛り上がる」のか
脱炭素に必要とされる資金を動かすのは…
E(環境)やS(社会)とは言わずインフラ投資に徹すれば、政治的には波風立てず環境問題の解決も後押しできる。「WOKE(意識高い系)」とも批判されない。こうした「面従腹背」の姿勢をとる米国の資産運用会社は実は少なくない。 11月にアゼルバイジャンで開催された第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)は、先進国から発展途上国への拠出金を巡る合意が難航し、分断と妥協が目立った。COPウオッチャーに言わせれば「陰の主役はトランプ氏」。圧倒的な経済規模を持つ米国が25年以降、脱炭素に消極的なることが確実である以上、先進国は踏み込んだ姿勢を示しにくかった。 みずほ証券サステナビリティ推進部ディレクターの香月康伸氏はCOP29の結果を受けて配信した顧客向けメールで「金融リヴァイアサンの出番」と書いた。言うまでもなく、17世紀英思想家トマス・ホッブズの著書からの着想だ。「国や地域の争いを超えられる巨大な意思決定機関」の意味あいで使われており、脱炭素に必要とされる膨大な資金を動かす役割を果たすのは「国境のない金融市場」であると香月氏は論を進めている。 金融市場のプレーヤーである資産運用会社がトランプ時代の4年をいかにくぐり抜けるかは、「2050年ネットゼロ(温暖化ガスの実質排出ゼロ)」を現実的に構想するうえで、きわめて重要である。
小平龍四郎