「補聴器」は慣れるまでの期間が必要なのはなぜ? 満足度調査から判明した”調整”の重要性
「補聴器を買ったけど使わなくなってしまった」という経験はないだろうか?「補聴器は購入したあとがポイントです」とは、認定補聴器技能者で補聴器専門店を経営する田中智子さんだ。補聴器には慣れるまでの期間が大切だという。その理由やプロセスを解説いただいた。 【画像】補聴器の満足度は「専門店で購入、専門家のフィッティング」で上がる<調査結果>
教えてくれた人
認定補聴器技能者・田中智子さん うぐいす補聴器代表。大手補聴器メーカー在籍中に経営学修士(MBA) を取得。訪問診療を行うクリニックの事務長を務めた後、主要メーカーの補聴器を試せる補聴器専門店・うぐいす補聴器を開業。講演会や執筆なども手がける。
補聴器の満足度を左右するものとは?
「補聴器」は決して安くはないですから、購入後に後悔はしたくないですよね。買った補聴器の満足度を高めるには、購入した後にも大切なプロセスがあるんです。補聴器を購入した人の満足度は、『資格者に調整してもらうこと』で高くなるという調査結果が出ています。 95才までの約1万4000人を対象に実施した日本における難聴者率や補聴器装用率等の実態調査※によると、補聴器購入者の全体の満足度は50%。 「認定補聴器技能者がフィッティングと助言を行いましたか」に「はい」と答えた人の満足度は62%、一方「いいえ」と答えた人の満足度は31%でした。 したがって、専門家(認定補聴器技能者)の調整を受けた方が、はるかに高い満足度を得られるということがデータで示されています。 この結果から、補聴器の満足度を高めるには、補聴器販売店(専門店)で購入し、認定補聴器技能者がフィッティングと助言を行うことが重要であることがわかります。補聴器も洋服と同じように、購入前にフィッティングすることができます。つけてみて試したり、聞こえ方を調整したり、「慣れるまでの期間」が必要になります。 ※一般社団法人 日本補聴器工業会「JapanTrak 2022 調査報告」。
補聴器に慣れるまでの期間は「約3か月」必要
補聴器はつけてすぐにベストな状態で聞こえるわけではありません。今まで数年、長ければ何十年もかけて徐々に悪くなっていた聴力。その状態でいるところに、いきなり補聴器で音が入ってくると、脳がびっくりします。 なので、時間をかけて調整しながら慣らしていくことで、雑音への意識が減り、聞きたい音(会話)に集中できるようになります。そして、この補聴器に慣れる調整期間として、だいたい3か月は必要とされています。このことは、補聴器を購入しようと考えているかににはぜひ覚えていただきたいポイントです。