中学時代は丸刈りでセーラー服「人と同じはつまらない」パリで創作に挑む女性画家 “突撃アタック”で作品を売り込み【働くって何?②】
「日本だとギャラリーや美術館に行けばそういう人に会えるかも知れないけれど、フランスではカフェテラスで自分が描いたノートを見てたら隣の人が『それ描いたの?』って聞いて来る。どれどれって隣の人が来て人垣になる」 ▽裸を描くのが好き 裸婦をよく描く。「服を着ちゃうとなんだろう。時代とかが固まっちゃう気がして。現代ぽいな、とか。裸の方がもっと自由で、服が邪魔ですよね」。人間の肌の色は血管の赤や青などたくさんの色が混ざっている。油絵を混ぜ、人間の肌の色を作るのも「気持ちよすぎる」そうだ。 「大好き」という食べ物をおいしそうに描くのも田中さんの特徴で、企業との仕事にもつなげている。資生堂の企業文化誌「花椿」のWEB版では旬の食べ物が登場する連載を受け持ち、高級菓子で知られるピエール・エルメ・パリともコラボレーションした。 作品には特に意味を込めていない。「みんな感じ方が違うんだから、自分から『こう見て』っていうのはできないし(そうすると)つまらないじゃないですか。私は絵を(描くことを)終わらせてからは関係ない。見てくれる人と絵との関係だから、そこに私が入る隙間はないんです」
× × × 取材の最後に「画家を目指す若い方にメッセージをください」とお願いしたところ、答えは簡潔だった。「楽しむ。そして行動すること」。全力で遊び、持ち前の行動力を生かして突撃アタックし、田中さん自身がすてきな出会いを生み出してきた。アトリエで話す姿は、なんだか自由で楽しそうだった。