第1回から第11回「事業再構築補助金採択企業」分析調査
採択企業2万555社 損益別
最終利益を比較した損益別では、最新期は黒字が78.9%、赤字は21.0%だった。採択企業の前期は黒字が77.3%、赤字が22.6%だった。黒字は、前期から1.6ポイント上昇した。 全社データでは、黒字が74.6%、赤字が24.5%で、黒字は採択企業が4.3ポイント高かった。
採択企業2万555社 対前年増減益別
最終利益の増減益別では、最新期は増益が49.3%、減益が43.8%だった。全社データは、増益が44.5%、減益が43.3%で採択企業の方が増益が4.8ポイント高かった。 だが、採択企業の前期は、増益が51.2%で、最新期が前期から1.9ポイント低下し、物価高などの影響を受けている可能性がある。
採択企業の倒産推移
採択企業のうち、倒産企業(負債1,000万円以上、2024年4月末時点)を抽出した。倒産社数は全体で338社が判明した。 倒産の推移は、2021年が7社、2022年は56社、2023年は189社と増加。2024年は4月末までで86社が判明し、2023年を上回るペースで推移している。
倒産企業はサービス業が最多
倒産企業の産業別では、サービス業他が158社(構成比46.7%)で最多だった。次いで、建設業と製造業が各44社(同13.0%)、卸売業の34社(同10.0%)、小売業の31社(同9.1%)と続く。 2023年度の全国企業倒産(負債1,000万円以上、9,053社)の産業別との比較では、サービス業他で採択企業の構成比が13.0ポイント高かった。 採択企業全体で、最多だったサービス業他の構成比は32.9%だが、倒産はその構成比を大きく上回る。サービス業他の事業計画の策定方法や実現性の審査など、あらためて検証する必要がある。
採択企業 倒産企業の原因別
倒産企業の原因別では、最多は「販売不振」の249社(構成比73.6%)と7割超を占めた。次いで、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が39社(同11.5%)、連鎖倒産の「他社倒産の余波」が15社(同4.4%)、放漫経営のうち「事業上の失敗」が12社(同3.5%)と続く。 2023年度の全国企業倒産(負債1,000万円以上、9,053社)は、「販売不振」の構成比が73.1%、「既往のシワ寄せ」が同10.9%、「他社倒産の余波」が同5.6%、「事業上の失敗」は同4.0%だった。採択企業との、大きな開きはなかった。