「お気持ち、わかります」で取材拒否に…週刊誌記者が教える、信頼される人とされない人の決定的な違い
● 「尊敬しています」という言葉は タイミングを誤ると信頼を失う メディアの世界には、博識で才能あふれる人がたくさんいます。渋谷のギャルだった私は、そういう人たちに対する尊敬の念を抱きやすいので、記者になった頃は会う人会う人に刺激を受けていました。 緊張もするけれどワクワクする出会いも多く、ギャルのノリで失礼なことを言ってしまったこともあります。それでもまだ若かったせいか大抵は笑って許してもらえましたが、ある上司に諭されてドキッとしたことがあります。 その上司は業界で有名だったこともあり、会って間もない頃に軽いノリで「尊敬しています!」と言ってしまったのです。するとその上司から、「尊敬されるほど、キミ、僕のこと知っているの?」と言われて、確かにそうだなと。軽はずみでそんなおべんちゃらを言うってどうなの?というニュアンスだったので、心から反省しました。 以来、「尊敬しています」と伝えたくなっても、そのタイミングにはものすごく気をつけています。とってつけたように聞こえる褒め言葉は1歩間違えると、信頼を失うほど軽薄な印象を与えてしまうのです。
● 傷つけることすらある「わかる」 安易に同調することの危険性 事件取材で、殺人犯のお母さまに話を聞き、「お気持ち、わかります」とつい言ってしまったことがありました。その後、長らく沈黙されていたので、沈黙のままで待ちました。ところが、続いた言葉は「帰ってちょうだい」の一言。語気が強く、泣いている様子でした。「あなたに何がわかるのよ!」というお気持ちだったのでしょう。 育った環境も経験してきたこともまったく違う赤の他人に、気持ちがわかるはずないですよね。ましてや、息子が殺人を犯したかもしれない母親の気持ちを、私が、簡単にわかるわけがないのです。安易に「わかる」と言うと、「あなたに何がわかるのか」と思われるだけで、相手がますます傷つくこともあります。 悲しみや憎しみの渦中にいる相手の気持ちに少しでも近づきたいと思ったら、「○○さん、おつらかったですよね」と、あなたを主語にした「Youメッセージ」で話しかけます。