【ONE】「35歳の壁」を越えて──連勝の和田竜光が怪我をしない理由とは?
2024年7月6日(土)タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Fight Night 23』のフライ級MMAで、シェ・ウェイ(中国)に判定3-0で勝利した和田竜光(フリー)。実力者のウェイを高い技術力で完封し、連勝を収め、試合後にストロー級挑戦も宣言した。 【写真】絶妙だった首相撲からのこかし MMAでは「35歳リミット」説がささやかれるなか、和田は試合前から「もしかしたら俺って衰えを知らない超人なのかもしれないって」と、MMAとしての体力に自信を見せていた。 そこには減量、練習における和田ならではの危機回避の術があった。 ◆ONEのMMA選手の中では僕がナンバーワンのボクサー ──今回のシェ・ウェイ戦、見事な完封劇でした。どんな作戦だったのでしょうか。 「作戦は特になくて。あんまり普段から作戦を決めてやる感じじゃないんですけど。相手は打撃は強い選手でしたが、相手の打撃を嫌がって組んだりとか、逆にそのタイミングを狙うとか、そういうことは考えてなかったです。むしろ、打撃で来るから、逆に打撃でやっつけちゃおうと。もちろん、その中で組むチャンスがあれば組んでテイクダウンする。できなければ打撃でやる。そのノリでやってました」 ──過去のウェイ選手の戦い方に比べ、今回の試合では自分の距離に入れず、和田選手が距離をコントロールしているように見えました。 「そうですね。試合始まって、1Rとか2R目ぐらいから“大体こんな感じか”っていうのが分かりました。本当はもうちょっと組んでテイクダウンとか増やしたかったんですけど、ちょっと僕のそのアタックの仕方に相手がすごく対応してきて。研究されているからか、崩し辛かったです。でも、もうちょっとテイクダウンを取れれば、試合は楽だったと思うんですけど。そこは彼がやっぱり強い選手だったんだと思います」 ──テイクダウンが難しい、脇を潜ってバックに行けないなか、近い距離でも和田選手には首相撲などの武器があります。 「距離の話をすると、近づいて打ち合う、至近距離での打撃の攻防をすることは僕は得意なので。首相撲はいつもやるし、遠い距離から出入りされるのが、僕からしたら嫌なんで、その点については、距離をちゃんと自分の得意な設定にしてやったって感じです」 ──和田選手のアタックに押されて、ウェイ選手がディフェンスに徹していたように見えましたが。 「組みに関して言うと、僕が良い所を持ちかけてたというか、何回か持てそうだったんですけど、ウェイ選手は持たせないような対応で、これは研究されていたんだと思います。あと足を触りに行ったのが何回かあったんですけど、その時のスプロールの反応もとても早かったので、徹底してやってきたのだと思いました」 ──打撃については? 「ウェイが打撃も強いのは分かっていたんですけど、僕の方が強いっていうのも分かっていたんで、特に脅威は感じなかったです。ONEのMMA選手の中では僕がナンバーワンのボクサーなので」 ──今回の試合は、和田選手がフェイントから攻撃を散らしたり、細かいパンチのテクニックが素晴らしく、和田選手の技術が非常に光った内容だと感じました。 「ありがとうございます。色んなところで、僕は『組技の選手』だと思われてるのが多いんですけど、打撃も得意なので」 ──はい。そうですよね。昔はどちらかと言うとバチバチなストライカーの印象があります。 「昔はそうでしたね。でも逆に、組みは昔はあんまりできなかったですね(笑)」