妻から「気持ち悪い。出ていけ」と言われ、実家に逃げ込んだ55歳男性。80代母の“叫び声”で眠れぬ夜を過ごす日々
人生100年時代の折り返し地点で、人は多くの問題に直面する。親の介護や病気、夫婦仲の冷え込み、子供の問題……。クリアが困難な“無理ゲー”の数々をどう解決すればいいか? 令和の家族メンテナンス法を探った。 ⇒【写真】現在は80代の母の自宅で介護と仕事、バイト生活を送る
家庭内で妻や娘に疎外され鬱を発症
3世代家族が一般的だったのは遠い昔。核家族化を経て、令和の家族像は様変わりしている。同時に、家族が抱える問題は多様化している。 太田涼平さん(仮名・55歳)は、家庭内で疎外感を覚えたことをきっかけに、2年前から家族と別居状態にある。 「妻とは次女が生まれてから10年以上のレスで、求めても『触らないで』と拒絶されるようになりました。夜勤の多い仕事なので生活リズムが合わず、娘とのコミュニケーションも皆無。私はいわゆるADHDで、人との距離の取り方がおかしいようで……妻や娘から言動が気持ち悪いと言われることも。そのストレスから鬱になってしまい、家に帰っても部屋に閉じこもるようになりました」
家族と別居の引き金になったのは…
別居の引き金になったのは、妻のスマホを盗み見たことだ。 「夫婦仲をどうにかしたい一心で、妻のLINEから娘のママ友の連絡先を調べて、『妻の不満を聞いてあげてほしい』と連絡したら、それがバレてしまったんです。妻からは『そんな気持ち悪いことする人とは住めない。出ていけ』と言われて、母親が一人で暮らす実家に逃げ込みました」 だが、実家で待っていたのは80代の母親の介護だった。
痛みで奇声を上げる80代母と眠れぬ夜を
「要介護1で認知症もないですが、腰が悪くて歩行器が手放せない生活なんです。だから食事や洗濯、掃除など身の回りの世話は僕がやらないといけない。母は夜中に体の痛みで『ぎゃぁぁ!』と奇声を発するので、満足に睡眠も取れない日もあります」 また別の問題で、経済的にも困窮している。 「別居後に妻から『実家なら家賃も生活費もいらないでしょ』と言われ、自分の通帳と印鑑を持っていかれてしまったんです。別居前の小遣いは月4000円だったのですが、それもなくなって……。休日に日雇いのアルバイトをしながら食い繫いでいます」