「電車に乗るのは非常識」 ベビーカーは車内で折りたたむべき? 遠慮不足が招く批判の声、専用マークの認知度「わずか52%」という現実
進むバリアフリー化と課題
2015年5月にJIS(日本産業規格)として制定された「ベビーカーマーク」は、ベビーカー利用者が安心して利用できる場所や設備を示すものだ。対象はエレベーターや鉄道・バス車両内の専用スペースなどで、このマークがある場所では、適切な使用方法を守ればベビーカーを折りたたまずに利用できる。 【画像】「えぇぇぇぇ!」これがベビーカーの「トラブル実態」です! 画像で見る(13枚) しかし現状では、このマークの認知度は依然として低い。国土交通省は、ベビーカー利用者と周囲の理解を深めるため、継続的なキャンペーンを展開しているものの、認識の広がりには限界があるようだ。 「ベビーカーで電車に乗るのは非常識」 「車内では折りたたむべき」 といった根強い意見が世間に残る一方で、公共交通や施設ではバリアフリー化が進み、環境は改善されつつある。それでも、子育て世帯が肩身の狭い思いをするケースは少なくない。 この状況の背景には、ベビーカーマークの認知不足があるのではないか。マークの存在が広く知られれば、ベビーカー利用者はより快適に公共の場を使えるようになるはずだ。 では、認知度が向上することで具体的に何が変わるのか。一児の母である筆者(小島聖夏、フリーライター)が、その可能性を探る。
折りたたみ利用の実態と広がる賛成意見
2024年6月14日から7月4日にかけて、国土交通省は国土交通行政インターネットモニター1075人を対象に、公共交通におけるベビーカーの利用に関するアンケートを実施した。 「あなたは、ベビーカーマークを知っていましたか」という問いに対し、37.5%が「見たことはないし、意味も知らなかった」と回答し、14.5%は「見たことはあるが、意味は知らなかった」と答えた。認知していない人の割合は52%に上り、マークの周知不足が明らかになった。 一方で、ベビーカーを現在使用している、または過去に使用経験のある646人に「あなたは、電車やバスなどでベビーカーを折りたたまずに使用したことがありますか」と尋ねたところ、「使用したことがある」は41.6%にとどまった。多くの利用者が、折りたたんで利用するケースが依然として多いことがわかる。 ただし、「あなたは、電車やバスなどの車内では原則としてベビーカーを折りたたまずに使用できることを知っていますか」という設問では、63.5%が「知っている」と回答している。 また、「あなたは、電車やバスなどにベビーカーを折りたたまずに乗車できることに対してどのように思いますか」との質問には、「賛成」が53.8%、「どちらかというと賛成」が36.0%と、賛成意見が 「合計89.8%」 を占めた。この結果からも、ベビーカーマークの認知度が向上し、折りたたむ必要がない場所という理解が浸透すれば、ベビーカー利用者の負担が軽減されるとともに、周囲の許容度も自然と高まっていくと考えられる。