F1分析|マクラーレン1-2フィニッシュも、チームオーダーで後味悪い結末に……なぜピアストリを先にピットインさせなかったのか?
ピアストリを先にピットに入れていれば……
一方でこちらのグラフは、レース中の各車のタイム差の推移をグラフ化したものだ。ハミルトンは比較的早めに2度目のピットストップを行ない、前を追っていた。そして44周目(赤丸で示した部分)にノリスの25秒後方まで迫っていた。 なお今回のハンガリーGPでは、ピットストップを行なうことで失うタイムは20.5秒ほどだった。この頃のハミルトンのペースは、ノリスよりも1秒程度速かったため、あと数周ピットインを遅らせていれば、アンダーカットを許してしまう可能性は確かにあった。なので安牌として早めにノリスをピットに入れた、それで順位が逆転した……ということにした方が、ピアストリは不満だったとはいえ、理解はできるかもしれない。 しかしあろうことか、マクラーレンは一度首位に出たノリスに、ピアストリに順位を譲るよう指示した。ピアストリを勝たせるつもりなら、44周目にピアストリをピットインさせ、その次の周にノリスをピットインさせる……そうすれば、何の遺恨も残らなかったはず(コース上でふたりが大バトルを繰り広げた可能性はあるが)。ノリスも「そもそも、僕はリードを手にするべきではなかった」と語っている、まさにその通りだ。 タイトル争いから長く離れていたマクラーレン。今回のバタバタ劇も、”勝ち方を忘れた”からなのかもしれない。
田中 健一