日本初の「雹(ひょう)災緊急アラート」車両を守る!ひょうカバーも開発
今回のテーマは、「シリーズ異常気象② 私たちの暮らしを守る!」。今、日本で深刻度を増している気象災害。その件数の増加と経済損失は、大きな社会問題になっている。 豪雨、突風、雷、雹(ひょう)…こうした異常気象に、独自の技術と経験を生かして立ち向かう日本企業の挑戦を追った。 【動画】日本初の「雹(ひょう)災緊急アラート」車両を守る!ひょうカバーも開発
災害時の知られざる仕事人 “損害保険登録鑑定人”の奮闘
8月下旬に発生した台風10号は、ゆっくりした速度で列島をジグザグに横断。記録的な大雨となり、台風と離れた地域にも被害が出た。 神奈川県の一部では観測史上最大の雨量を記録し、二宮町では川が氾濫。近くの住宅では床上浸水の被害もあったが、この辺りではめったにない事だという。地元住民は「腰ぐらいまで水が来ていて、車が2台ともダメになった。車両保険に1台しか入っていなかった」と頭を抱える。こうした予期せぬ被害を受けた時のために入っておくのが、保険だ。
東京・千代田区に本社を構える「三井住友海上火災保険」は、大手損保4社の一角。ここは災害時の保険金の算定や支払い手続きなどを行う「災害対策室」という重要な部署だ。
中島有美さんは、重要な役割を担う損害保険登録鑑定人の一人だが、会社の社員ではなく、鑑定事務所から派遣され、公平・中立な立場で保険金を算定している。鑑定人になるには資格が必要だが、1級の合格率は10パーセント未満という難関だ。 この日は、台風10号で被害を受けた屋根を鑑定。保険加入者から送られてきた見積書と写真を見比べながら、瓦の費用として適切かどうかを見た結果、認定が下りた。修理代として約48万円、写真で確認できた部分は満額の補償金が支払われる。 中島さんは「大規模な災害が生きた時は、現地に行くこともある。写真を撮るのが難しいこともあるので」と話す。
石川・金沢市。三井住友海上は、能登豪雨発災直後に鑑定人の派遣を決めた。具島信介さんは福岡県の鑑定事務所に籍を置く、この道24年のベテラン。三井住友海上が鑑定人の調査を必要とする契約は約200件あり、先遣隊として具島さんたち4人が2日間調査。それを基に、その後に続く能登豪雨の損害調査方針を決める。 具島さんは、元日の地震の際も鑑定に参加。被害を受けた人と保険金についてのやりとりを重ねるシビアな仕事でもあり、「できるだけ多く欲しいという方もいる。そういう方に対してどう接すればいいか。正論だけでは難しいところがある」と話す。