日本初の「雹(ひょう)災緊急アラート」車両を守る!ひょうカバーも開発
具島さんは、能登豪雨による被害の保険金を算定するために、輪島市の住宅街を訪れた。 築約40年木造2階建ての民家の家主・舟板廣さんは、水災補償付きの火災保険に入っていた。 当時は川の水が舟板さんの家を襲い、重い冷蔵庫が流されるほどの勢いで、メジャーで測ると床上60センチほどまで水が来ていたことが分かる。傷んだ畳は処分され、床下がむき出しの状態。具島さんの鑑定が他の被災者に支払われる保険金にも影響するため、慎重な調査が行われた。 保険金の額は鑑定人が算定するが、支払うのは保険会社だ。火災保険料は近年上がり続けているが、10月より、大手損保4社も10パーセント前後の値上げに踏み切った。頻発する自然災害が大きな要因になっていた。 三井住友海上火災保険 損害サポート業務部 部長の鈴東公一さんは、「(値上げは)非常に申し訳ないと思うが、やむを得ない。ただ単に保険金を支払うだけでは保険会社の使命を果たせない。事故が起こらない、災害の被害を最小限にとどめることが、保険会社にとってもお客様にとってもウィンウィンの関係になる。そういう取り組みも併せてやっていくことが今後の継続につながる」と話す。
AIの力で“ゲリラ雷雨”を予測しろ! ウェザーニューズの進化
災害のリスクを最小限に抑えることにまい進する企業がある。ウェザーニューズの従業員数は、気象予報士を含む約1000人。1986年、船舶向けの気象情報を提供するために設立され、現在は気象データを各航空会社や鉄道各社などにも販売。年商220億円(2023年)企業に成長した。
気象予測アプリ「ウェザーニュース」も好評で、ダウンロード数は約4500万件(2024年9月時点)。アプリのゲリラ雷雨を捕捉できる確率は90パーセントで、最近精度が上ったという。そのカギは、全国1600地点から送られてくる「ソラカメ」が捉えたリアルタイムの動画。3月から、これらの動画を予測に活用している。
東京・練馬区在住の三宅夏樹さんは、ウェザーニューズのアプリ利用者で、自宅にソラカメを無償で設置している。三宅さんは「自分が住んでいる地域の予報の精度が上がってくれる事を期待している」と話すが、まさにこうした協力者から送られてくる動画が、予測の精度を上げているのだ。 さらに、全国から送られてくるソラカメの映像から、ゲリラ雷雨に発達しそうな雲をAIが選出する技術で、現在30分前に届けている通知を10分以上早めようと試みていた。 異常気象による被害が大きくなるにつれ、予測技術も進歩しているが、そんな中、どうしても予測できなかった気象現象が、被害が激増している雹(ひょう)だ。