トヨタ『10戦9勝』誇る地元・富士戦へ。小林可夢偉「皆様の前で、この記録を更新することが目標」/WEC
WEC世界耐久選手権のタイトル争いで激戦を繰り広げているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は9月13~15日、チームのホームコースである静岡県の富士スピードウェイで行われる、シーズン第7戦の『富士6時間レース』に挑む。 【写真】可夢偉の7号車とドライバーズタイトルを争う、6号車ポルシェ963のアンドレ・ロッテラー 全8戦で争われている2024年シーズンは、ポルシェ、TGR、フェラーリによる世界チャンピオンの栄光を賭けた戦いが激しさを増している。 6シーズン連続でのチャンピオン獲得を目指すTGRは、9月1日にアメリカ・テキサス州オースティンで行われたばかりの第6戦『ローンスター・ル・マン』で7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)が2位フィニッシュを果たしたことにより、マニュファクチャラーズ選手権で首位に立った。しかし、ポルシェが11ポイント差、さらに8ポイント差でフェラーリが追ってきている。 昨年の富士大会の覇者である可夢偉とコンウェイ、今季より加わったデ・フリースの3名が駆る7号車は、ドライバーズタイトル争いに生き残るべく、今季2勝目を目指す。オースティンでは終盤のペナルティにより僅差の2位に終わったものの、この結果により可夢偉とデ・フリースは、ドライバーズタイトル争いにおいて首位の6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のトリオに12ポイント差まで詰め寄ることに成功した。なお、コンウェイはル・マン24時間を欠場したことでチャンピオン争いの権利はない。 ドライバーズ選手権のディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車は、2022年の富士で勝利を飾っており、アクシデントとペナルティにより今季初めて無得点に終わった前戦オースティンでの雪辱を誓う。 現世界チャンピオンのTGRは、2012年に世界トップレベルの耐久レースに復帰して以来、これまでに10回行われてきた富士でのWEC戦のうち9勝を飾っており、2016年からは負けなしの6連勝と、チームにとって最も成功を収めているサーキットでもある。 また、GR010ハイブリッドのハイブリッド・パワーとレーンは、富士スピードウェイからほど近い、トヨタ自動車の東富士研究所で設計・開発・組立が行われている。1年ぶりのホームレースを前にしたTGRの6名のドライバーのコメントは、以下のとおりだ。 ■最終セクターでは「リヤタイヤを労る必要がある」 ■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー) 「チームの誰もがホームレースを待ちわびています。富士はル・マンに次ぐシーズン2番目のハイライトであり、我々にとっても非常に重要なレースです。日本人ドライバーとして、また日本のマニュファクチャラーとして富士で戦えること、そして、日本のファンの皆様に直接会えるという意味でもとても大事なイベントです」 「我々はこれまで富士では強く、10戦中9勝という非常に良い成績を残しています。もちろん、日本のファンの皆様やパートナー、関係者の皆様の前で、この記録を更新することが目標です」 ■マイク・コンウェイ(7号車) 「単に富士のレースを戦うということだけでなく、トヨタの代表としてホームイベントに参加するという意味で、本当に特別で、楽しみにしている。日本、そして東京は、私個人としても大好きな国と都市のひとつで、日本の関係者の皆様から暖かい歓迎を受けるのも素晴らしい体験だ。日本ではいつも楽しい時間を過ごしてきたので、再訪が待ちきれない」 「富士はまた、私にとってお気に入りのコースのひとつでもある。特に最終セクターがトリッキーなサーキットだ。今の勢いを維持し、連勝記録を伸ばすことを目標にしている」 ■ニック・デ・フリース(7号車) 「富士でのホームレースを迎えるにあたって、とても興奮している」 「日本のファンの皆様やトヨタ関係者、そして日本のパートナーの皆様が見守る中でのレースは、我々にとって非常に重要な週末になる。サーキットに来ていただけるファンの皆様を暖かく迎えたいし、また私たちを応援し、誇ってもらえるような走りを見せたいと思う」 「富士ではこれまで何度かLMP2で戦い、好結果を残しているが、TGRドライバーとしては初めてのレースで、とても楽しみにしている。シーズンも終盤に入り、チャンピオン争いも激しさを増しているので、さらに重要なレースになるだろう」 ■セバスチャン・ブエミ(8号車) 「ホームレースをとても楽しみにしている。日本を訪れるのはいつも楽しく、これまで富士で何度も勝利を挙げてきており、再び富士で戦うことが待ちきれない」 「コースはとてもチャレンジングで、非常に長いホームストレートは、多くのオーバーテイクのチャンスを生み、続く第1セクターも本当に高速だ。最終セクターは非常にトリッキーで難しく、上りながら低速コーナーで良いトラクションを得るために、リヤタイヤへの負担も大きい」 「当然チャンピオン争いにおいて非常に重要なレースになるので、クルマの能力を最大限に引き出せるよう尽力する」 ■ブレンドン・ハートレー(8号車) 「日本で、特に富士でレースをするのは大好きだ。レース前にはパートナーの皆様にお会いしたり、トヨタの施設を訪問する機会もある。トヨタのレーシングスーツを身につけて、応援してくれる日本のファンの皆様の前に立つのはいつでも特別な気分だし、富士で好結果を残すための大きな力になってくれる」 「コースは面白いが、マスターするのは大変だ。高速コーナーがある一方、最終セクターはトリッキーで、逆バンクがあるのでリヤタイヤを労わる必要がある。とはいえ、幸運なことに我々のチームには可夢偉と亮という、富士を知り尽くしたふたりがいるので、どんな秘策でも教えてもらえるのだ」 ■平川亮(8号車) 「富士はシーズンにおいてル・マンの次に重要なレースで、毎年チームにとって大きな一戦です」 「日本人ドライバーとして母国のレースですし、特に私自身長い期間スーパーフォーミュラやスーパーGTを戦ってきているので、もちろん特別な一戦です。富士は私にとって本当にホームコースで、走るのはいつでもとても楽しい体験です」 「過去2年のように、チームでのワン・ツー・フィニッシュを達成できればと思っています。それは簡単なことではありませんが、パートナーやファンの皆様、そして知人や家族が見守る前で良い結果を得るべく、我々全員士気が高まっています」 [オートスポーツweb 2024年09月09日]