「マンションの管理費」高騰は他人事じゃない…じつは既存マンションにも迫っている「ステルス値上げ」の波
近年、新築マンションの価格が急騰していることは多くの方がご存じだと思いますが、実はマンションの「管理費」も大幅に高騰しています。東京都心9区でメジャー7とされる大手デベロッパーが分譲した新築マンションの管理費は、2019年から2023年までの5年間で約1.2倍に高騰しました。もちろんインフレの影響もありますが、管理費が高騰している理由はそれだけではありません。また、既存のマンションでは近年、管理費の「ステルス値上げ」も見られます。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が見た「地獄」
新築マンションの管理費が高騰している理由
皆さんご存じのとおり、近年はあらゆるモノの値段が上がっています。マンションの「管理」にも人手が必要であり、光熱費がかかり、さまざまな備品が必要になることから、インフレの影響をダイレクトに受けます。しかしながら、マンションの管理組合が管理会社に支払う管理委託費を値上げするには総会決議を要するため、簡単に値上げできるものではありません。そのため今、新築時の管理費の高騰が顕著に見られるのです。 そもそも、これまで新築時の管理費はとりわけ安価に設定されていました。やはりマンションを購入する人からすれば、毎月のローンの返済もあるため、管理費や修繕積立金はできるだけ安く抑えたいところ。新築時の管理費を安く設定するのは、売りやすくするための分譲会社の戦略だったわけです。しかし、どんどんインフレが進む一方で、なかなか管理費を値上げできないという実情から、大手デベロッパーは「新築時の管理費を上げる」という戦略に舵を切った形です。
既存マンションの管理費で「ステルス値上げ」が見られる理由
既存のマンションの管理費も高騰傾向にありますが、新築マンションほどの高騰は見られていません。2023年度マンション総合調査によれば、管理費の平均は 17,103 円でした。(駐車場使用料等からの充当額を含む月/戸当たり)2018年度の調査では平均15,956円だったため、この5年間の上昇率は1.07倍。管理費は、管理会社に支払う「管理委託費」が大部分を占めることから、自分たちのために積み立てる修繕積立金以上に値上げが難しいといっても過言ではありません。 管理会社が管理委託費の値上げを打診すると、管理組合からは逆に管理の見直しを打診されます。「ここが削れそうだ」「ここはしっかりやっているのか」というように重箱の隅をつつくような指摘が入るため、管理会社が打診しにくいということもあるでしょう。 こうした状況から近年見られるようになったのが、管理費の「ステルス値上げ」です。ステルス値上げとは、たとえば100円で売られていたお菓子が、値段は据え置きで一回り小さくするような事象を指します。同様に、同じ管理費でも管理の「質」が落とされてしまうマンションが散見されているのです。
