“医学部卒”が実は「大企業への就職にも有利」になるワケ
わが子が自分の力で食べていけるように、親はどのような教育を施すべきか。その解の一つは、食いっぱぐれない職業の代表格・医師になる道が拓く「医学部進学」でしょう。ただし、卒業後の進路は必ずしも「医師一択」ではありません。わが子の可能性を広げるために知っておきたいこととは? 経済アナリスト・森永康平氏が解説します。 【早見表】子供の1ヵ月の教育費「小学生/中学生/高校生」「公立/私立」で比較
親がわが子の可能性を狭めてはいけない
前回記事 では、「医学部へ行ったけれど医師にはならない」というキャリアが昔よりも取りやすくなっており、これを知っておくと卒業後の可能性が広がるということをお話ししました (関連記事:『「医学部へ行くなら、医師になりなさい」という考えはもう“古い” …これからの時代の進路選択』) 。 近年、医学部人気が高止まりしていますが、「医学部進学=医師になる」という固定観念にとらわれていると、大学受験の際に子どもの選択に反対することになったり、わが子のためを考えて医学部に進学させたあとでも、卒業後の進路選択について反対をすることになったりと、かえって子どもを不幸にしてしまうかもしれません。 「親がわが子の可能性を狭めてはいけない」ということを改めて考えさせられた出来事がありました。 これは以前、医学部専門予備校 京都医塾と対談したときに聞いたことです。例えば保護者の方が医師だと、わが子にも医師になるよう勧めるケースは珍しくありませんが、中には「自分は京大医学部出身だから、あなたも京大に行きなさい(京大以外は認めないぞ)」というスタンスを取る方もたまにいるそうです。 ここからは筆者の考えではありますが、「わが子にはこれを学ばせたい」という気持ちや考えは、筆者を含めて多くの親が持っていることでしょう。しかし、その考えが本当にわが子のためになるかどうか、功を奏するかどうかは、親がきちんと勉強しているかどうかという点に大きく左右されると思います。 「ただでさえ難関とされる医学部の中でも、京大医学部は抜群に難しいし、自分が良いと感じる教育環境を子どもにも経験させたいと考えている」。これは一つの意見としてはいいと思いますが、だからといって「京大医学部以外はダメ」という姿勢になるのは、あまりにも無知な話だと思います。医学部があるのは京大だけではありませんし、その他にも、選択肢があるはずです。すべての医学部を見たうえで、「お前にはこの大学の医学部が一番合うと思うよ」と一意見を言うのであればともかく、「行くならここしかないぞ」と言ってしまえるのは、親自身が十分に理解されていないからこそでしょう。 本来はさまざまな選択肢があるにもかかわらず「この道しかない」と迫るのは子どもにとってプレッシャーにしかなりませんし、もし受験に失敗したら、子どもは「もうダメだ」「終わった」と必要以上に自分自身を責めてしまうと思います。