ジャガー、フォーミュラE参戦マシン新型「I-TYPE 7」公開 新型パワートレーンでF1マシン以上の加速性能を達成
ジャガーのレーシングチーム「JAGUAR TCS RACING」は12月5日(現地時間)、ABB FIAフォーミュラE世界選手権2024/2025シーズンの開幕に合わせ、初戦サンパウロE-Prixの練習日前夜に新型参戦マシン「I-TYPE 7」を公開した。 【画像】ジャガーのフォーミュラE参戦マシン新型「I-TYPE 7」 新型I-TYPE 7は、2023/2024シーズンのチームチャンピオンシップを制した「I-TYPE 6」よりも、インバーター、モーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)、トランスミッションなどパワートレーンを一新して飛躍的に進化。新しいフォーミュラE GEN3 Evoレギュレーションに対応させ、350kWの全輪駆動トラクションと600kWの回生ブレーキ機能、新しいボディワーク、最新のハンコック製iONタイヤを装備する。 最新のハンコック製iONタイヤは、5~10%グリップが向上しているため、その特性を理解することがすべてのチームにとって大きな鍵になるという。また、最高出力は350kWのまま変わらないものの、今回初めてフロント・パワートレーン・キット(FPK)が利用可能になり、デュエルステージやローンチ、アタックモードの各フェーズにおいて全輪駆動が許可されることになる。そこで各チームは独自のソフトウェア制御システムで、各フェーズでフロントおよびリアアクスルに350kWを配分することになる。特に後輪駆動と全輪駆動の切り替えが必要で、ブレーキ時にはフロントとリアの合計600kWの回生エネルギーをいかに素早くバッテリへ戻すかが重要となる。 I-TYPE 7は、全体的なハンドリングバランスを向上させるために、インバーター、MGU、トランスミッションで構成されるまったく新しいリアパワートレーンを開発。従来のモデルとはまったく異なるパッケージングになっているだけでなく、電気補助システムも軽量化も実現したほか、リアパワートレーンは、熱管理テクノロジの強化によって、新しいMGUの効率をさらに向上させたとしている。 なお、I-TYPE 7の0-100km/h加速は1.86秒を達成し、加速性能は現行のF1マシンよりも高いという。 ドライバーのミッチ・エバンス選手(9号車)のコメント JAGUAR TCS RACINGの一員として再びレースに参戦でき、うれしく思っています。チーム・チャンピオンシップの王者としてサンパウロに向かうのは、最高の気分です。オフシーズンは新しいGEN3 Evoマシンのテストで忙しく過ごしていましたが、シーズン11でよいスタートが切れるよう、全力を尽くします。 ドライバーのニック・キャシディ選手(37号車)のコメント JAGUAR TCS RACINGでの2シーズン目が始まるのが、とても楽しみです。シーズン10はやり残したことがはっきりしています。マドリードで行なわれたプレシーズンテストでは、I-TYPE 7が大きく進歩を遂げていることが確認できました。この勢いを維持して、サンパウロで好スタートを切れることを期待しています。 JAGUAR TCS RACINGチーム・プリンシパル ジェームズ・バークレー氏のコメント 2024/2025シーズンのタイトル獲得に向けた戦いを控え、ワクワクするような1週間でした。まずマイアミではDESIGN VISION CONCEPT「TYPE 00(タイプ ゼロゼロ)」を、続いてサンパウロでは公式リブリーをまとった「I-TYPE 7」を公開しました。この「I-TYPE 7」がニック・キャシディとミッチ・エバンスによってサーキットでデビューするまで24時間を切っています。ジャガーブランドにとっても、世界王者である私たちにとっても、とてもエキサイティングな時間を過ごしています。 「I-TYPE 6」でシーズン10のチームチャンピオンシップとマニュファクチャラーズタイトル獲得に向けた戦いと並行して、私たちは新しい「I-TYPE 7」の設計、開発、テストを行なってきました。新しいJAGUARのパワートレーンの開発は始まったばかりですが、初期段階でもポジティブな手ごたえを感じており、すべてのチームとともに、フォーミュラEのGEN3 Evo時代に移行する際の、新しいレギュレーションと機能を最大限に活用するという挑戦を楽しんでいます。GEN3 Evoと新しいホモロゲーションにより、各チームは共通のボディワークと全輪駆動能力に加えて、パワートレーンのコンセプトとコンポーネントを改良するチャンスを得ました。これらの変更によって、マシンのスピードがアップするだけでなく、ほとんどのグリッドが表彰台や優勝を争えるような、競争の激しいシーズンになることは間違いありません。 最も重要なことは、これらの新しいレギュレーションによって、EV(電気自動車)のテクノロジを加速度的に開発および実証するチャンスがもたらされることです。そのメリットをJAGUARが将来的に提供するあらゆるEVに確実に反映させ、お客さまの利益につなげます。
Car Watch,編集部:塩谷公邦