シャープ赤字決算を謝罪、わかもと製薬で実験動物の情報開示求める株主提案も…株主総会ピーク
上場企業の株主総会が27日、ピークを迎えた。この日総会を開くのは、3月期決算企業の約3割に当たる600社超。株主提案を受ける企業が過去最多となるなど、株主との緊張関係が高まる中、企業価値の向上策を巡る攻防が繰り広げられた。
堺市で開かれたシャープの株主総会では、冒頭、 鴻海(ホンハイ)精密工業出身の 呉柏勲(ごはくくん)社長兼最高経営責任者(CEO)(46)が、2024年3月期連結決算で2年連続の最終赤字に陥ったことについて「深くおわび申し上げる」と謝罪した。 シャープは総会前日の26日に、沖津雅浩副社長(66)が27日付で呉氏の後任の社長兼CEOに就任する、日本企業としては異例の人事を発表した。沖津氏は、今後の経営戦略について「鴻海と中長期の成長に向けた連携を深め、信頼の日本ブランド・シャープを確立したい。黒字化必達に向けまい進する」と述べた。
株主からは業績回復や株価向上に関する質問が相次ぎ、沖津氏は「テレビや白物(家電)などグローバルで伸びているものもある。選択と集中を進めていきたい」と応じた。 総会では取締役の選任案など全議案が賛成多数で可決された。
投資会社が「動物福祉」求める…専門家「先進的な提案」
東京都内で開かれたわかもと製薬の株主総会では、企業に対して動物の飼育環境に配慮する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」を求める株主提案があった。 投資会社「ナナホシマネジメント」が、研究開発の実験などで用いる動物の購入頭数の開示を求める定款変更を提案した。ナナホシは「動物実験は3Rの原則(使用動物数の削減、代替法の利用、動物の苦痛の軽減)の国際的な基準理念を順守した上で行われている。 3Rの原則に基づく取り組みの情報開示は、消費者や投資家から理解を得る上で重要だ」などと提案理由を説明している。わかもと製薬は「原則を守っているかどうかを監視する体制を既に構築している」などと反対している。
環境や生物多様性などの取り組みを重視するESG投資が広がる中、動物福祉への対応を求める株主の声は米国などで強まっている。 企業法務に詳しい蔵元左近弁護士は「米国ほどESG投資が広がっていない日本では先進的な提案だ」としており、動物福祉の取り組みを求める声が日本でも強まるか注目される。