【判決】「法解釈変更の目的は黒川氏の定年延長」と指摘 国の文書不開示の取り消し命じる 大阪地裁
2020年、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を延長した閣議決定をめぐり、国が関連文書を開示しないのは違法だとして、大学教授が不開示決定の取り消しなどを求めている裁判で、大阪地裁は27日、国側の決定を一部取り消すよう命じました。大阪地裁は判決の理由で「法解釈変更の目的は黒川氏の定年延長を行うことにあったと考えざるを得ない」と指摘しました。
■「法解釈の変更」で決定した定年延長に各界から批判 黒川氏は賭けマージャンで辞職
検察庁法では63歳が定年と定められていましたが、黒川氏の定年が目前に迫っていた2020年1月、政府は国家公務員法の規定を適用し、検察官では初めてとなる定年延長を決定しました。 黒川氏はその後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言中に記者らと『賭けマージャン』をしていたことが発覚し、検事長を辞職。黒川氏は東京地検特捜部に単純賭博の罪で略式起訴され、東京簡裁が罰金20万円の略式命令を出しました。 従来、国家公務員法の規定に基づく定年延長は「検察官には適用しない」とされてきましたが、政府は「法解釈を変更した」と説明していました。野党が「恣意的な運用だ」と非難して国会が紛糾したほか、有識者や著名人らが抗議するなど社会問題となりました。
■情報開示請求に国「そのような文書は作成していない」 出廷した当時の法務省事務方トップ「定年延長は黒川氏のためではない」
訴状などによりますと、原告の神戸学院大学の上脇博之教授は法解釈を変更した経緯を明らかにするために、2020年と2021年に法務省に対し関連文書の開示を求めましたが、国は「そのような文書は作成していない」として不開示としました。 2023年12月には、文書の作成状況などを明らかにするため原告側が請求した、当時の法務省の『事務方のトップ』である事務次官を務めた辻裕教氏の証人尋問が行われました。 原告側の「黒川元東京高検検事長の定年を延長するために行われたものだ」とする主張について、事実かどうか問われた辻氏は否定した上で「あくまで社会情勢の変化などで必要であったため、正規の手続きに基づいて行われたものだ」と証言しました。 証人尋問の後、原告側は「約40年も続いた解釈を変更するのに伴って、多くの検察官の処遇にも影響するにもかかわらず、正式な文書はなく、いわゆるメモと口頭での説明だけだったという説明はあまりに不自然だ」と指摘していました。
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