河川敷を散歩中「まさか人じゃないよな」偶然居合わせた大学生8人と協力、溺れた高齢女性救助 宝塚の武庫川
武庫川で溺れていた高齢女性を協力して助けたとして、兵庫県警宝塚署と宝塚市消防本部はこのほど、大学生ら9人にのじぎく賞と感謝状を贈呈した。女性を川から引き上げたり、警察への通報や動揺する女性への声かけをしたりと、偶然居合わせた9人が力を合わせた。(村上貴浩) 【写真】水がたまった巨大穴に軽自動車とパトカー転落、激しい雨で陥没か 運転の2人は窓から脱出 南あわじの県道 5月7日午後6時10分ごろ、宝塚市末広町の武庫川河川敷で散歩をしていた徳永正仁さん(68)=同市=が川にふと目をやると、川岸から3メートルほど先の岩に何かが引っかかっていた。「まさか人じゃないよな」。よく見ると高齢女性があおむけになっていた。 手元に携帯電話を持っていなかった徳永さんは近くで助けを呼べる人を探し、遠くから走って来る数人の人影を見つけた。練習中の関西学院大学陸上部の部員7人だった。 「ちょっと来て」。大きな声を聞いて7人が駆け寄ると、川の中に入ろうとしている徳永さんから「110番して。何人かは引き上げるのを手伝って」と言われた。同じく近くで自主練習していた関学大ラクロス部の1年生高森桐生さん(18)が持っていた携帯で110番し、何人かで状況を必死に伝えた。 徳永さんに続いて陸上部員の清水皓太さん(21)と冨永己太郎さん(21)が川に入り、3人で女性の体を抱えて河川敷に引き上げた。3人は「膝の高さぐらいの水深だったが女性は水にぬれてとても重く、2、3分の出来事がとても長く感じた」と振り返る。 河川敷に残る中尾心哉さん(21)、岡寛大さん(21)と岡田晃成さん(21)、太田駿さん(21)、合川歩輝さん(19)は動揺する女性に「落ち着いて」と優しく声をかけてなだめ、到着した警察官を誘導。70代の女性は病院に搬送されて無事だったという。 警察官志望という中尾さんは「今回の経験で改めていつでも素早く動けるようにしないと、と思った」と話し、徳永さんは「人命救助なんて初めて。見つけた時は『人じゃなかったらいいのに』と怖かった。それでも学生たちが来てくれてとてもホッとした。無事で良かった」と笑顔で話した。