「ロシアではお給料が出るけど…」現役バレリーナが厳しい国内事情を告白 老舗バレエ団が動画配信、華やかさの裏の“現実”
「こんな世界だとは知らなかった」「バレエに対する見方が180度変わった」……。1949年に創立された老舗の「谷桃子バレエ団」に密着したYouTube動画が大きな反響を呼んでいます。華やかなバレエ界の裏にある過酷な経済事情について、あまりに赤裸々な告白や実体験が映し出されており、「苦労する姿を見たら、本番での舞台を楽しめなくなる」といった心配や批判も巻き起こりました。本記事では、その動画を担当した映像ディレクター・渡邊永人氏の著書『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』より一部を抜粋・再編集し、ロシアの元プロバレエ団員の大塚アリスさんを取材した様子をご紹介します。 【写真】“世界一過酷で美しい”と言われるロシアの名門バレエ学校時代のアリスさん
■ロシア帰りのバレリーナに密着 「だいぶ焦げちゃいました」 オーブンレンジから、手作りのスコーンを取り出しながら、ロシアの元プロバレエ団員の大塚アリスさんは少し恥ずかしそうに言った。 取材初日に、バレエの専門用語連発の練習を目の当たりにしたバレエ初心者の僕は、バレエの入り口のハードルの高さを痛感した。そこで、「バレエ」そのものではなく、まずは「人への興味」を入り口に動画を作ろうと考えた。 人は「人」に興味がある。バレエ自体には興味がない人でも、同じ人間として共感できれば、バレエの動画に興味を持ってもらえる。そう考えたのだ。
「バレエ以外の趣味はありますか」と事前に聞いたところ「お菓子作りが趣味です」と返って来たので、その様子を撮らせてもらうことにした。 ロシアのプロバレエ団からコロナがきっかけで帰国。地元の関西で、オファーがあれば色々なバレエ団の舞台にその都度ギャラをもらって出演するというフリーランスのバレリーナとして1年間活動。 その後、谷桃子バレエ団に入団を決めたアリスさん。フリーだと普段の練習場所がなく、どこかに拠点をしっかり持ちたいとずっと思っていた。それが入団を決めた理由の一つだそう。